猟銃 †
獣皮や食料などの動物資源の獲得、または害獣の駆除を目的とした、いわゆる狩猟用の銃の日本における総称。
日本では火縄銃の伝来以来、銃猟という新たな猟法として普及した。対象となる鳥獣の種類や狩猟方法によって、ライフル銃、散弾銃、空気銃などさまざまな種類の銃が用いられる。銃猟を行うには第一種銃猟免許(散弾銃、ライフル銃)、第二種銃猟免許(空気銃)と、猟法によっていずれかの免許を必要とし、加えて猟銃を所持するためには銃刀法に基づいた所持許可も必要となる。
銃は扱いが比較的容易ながら遠く離れた対象を殺傷せしめる道具であることから、クレー射撃などの競技や狩猟といった明確な使用目的と実績が問われ、年齢制限*1を始めとする厳格な資格審査や試験、銃や実包の保管・運搬方法の制限、射撃時のルールなど、銃刀法のもとに使用者には厳しい自覚と責任が求められる。また日本における銃所持は免許制と異なり、一銃一許可制で一個人に銃一挺が紐づけられるため、新たな銃の取得ごとに新たな許可を必要とし、他者への貸与も許されず、他人の銃を正当な理由なく手に取ることも不法所持となる。これは後述の空気銃も同様である。こうした事情から銃猟を始めるにあたってのハードルは高く、猟銃所持許可取得者は年々高齢化しその数は減少し続けている。
なお鳥類の狩猟に用いられるエアライフル(Air Rifle)などの「空気銃」は、日本での法律上は猟銃には分類されない。ただし、高圧エアによって高速でペレット(Pellets)と呼ばれる弾丸を撃ちだす仕組みで、火薬式ほどでは無いにせよ殺傷性は充分高く、日本では猟銃と同様に銃刀法によって規制され、所持には各都道府県公安委員会の許可が必要である。
また近年では、猟銃に用いる弾丸を無鉛化*2しようという動きが各国で見られる。これは発射後、猟場に残留した鉛弾やその破片を周辺の鳥獣が体内に取り込み鉛中毒によって死亡する事故が古くから起こっているためである。主に、狩猟後に放置された死骸、または解体時の残滓を食べたり、小石といっしょに鉛散弾を摂取するなどして引き起こされる。
日本では北海道において条例により、2000年からエゾシカ猟における鉛弾の使用禁止、2004年から全ての猟で鉛弾の使用禁止、2014年からはライフル弾と粒径7mm*3以上の散弾を対象に鉛弾の所持禁止となっている。しかし実際には、2016年にも釧路の鶴居村で鉛中毒によるオオワシの死亡例が確認されるなど、鉛弾の問題は未だ根深いものとなってしまっている*4*5。このため2021年に環境省は2025年度から狩猟用弾薬の段階的な鉛規制を実施し、2030年度にはライフル銃と散弾銃の鉛弾使用を禁止する事とした。
このような国政府による全面的な鉛弾規制は世界的にも稀で、前例としてはデンマークが水産資源とその消費者である国民の健康の為に1996年から鉛散弾の販売と使用の禁止、ライフル弾についても2023年に鉛弾禁止が施行される予定となっている例がある。
日本で使用される猟銃の例 †
ライフル銃 †
- スタームルガー ミニ30
- ブレーザー R93
- ベルダン M1870
- 豊和 M300
- モロト VEPR
- レミントン M700
散弾銃 †
- ウィンチェスター M1912
- イサカ M37
- サイガ 12
- フランキ PA
- ブローニング オート5
- ベネリ M1
- ベネリ M3
- 村田銃(散弾仕様モデル)
- レミントン M870
- レミントン M1100
日本の著名な猟師(実在) †
- 山本 兵吉(三毛別熊事件の熊を射殺)
日本の著名な猟師(架空) †
- 竹田 五兵衛(銀河 -流れ星 銀-)
- 二瓶 鉄造(ゴールデンカムイ)