ゾロターン S-18/100 / Solothurn S-18/100 【対戦車自動小銃】

　S-18/100は、第二次世界大戦で運用されていた、20mm口径のセミオート式対戦車ライフルである。ドイツ・ラインメタル社の子会社だったスイス・ゾロターン(ゾロトゥルン)社*1が1936年に設計し、1938年から製造が始まった。

　作動方式はショートリコイル、閉鎖方式はロータリーボルト。撃発はクローズドボルトだが、発砲後にボルトが後退位置で停止するので、手動で薬室閉鎖を行うという独特な機構を採用している。これは、発砲後に薬室を開放状態にすることで、銃内部に発生した熱を逃がすための措置である。ブルパップ式だが弾倉挿入口はトリガー真上にあり、レシーバー左側から水平に弾倉を差し込む。発砲時の反動を抑えるため、銃口にはマズルブレーキ*2を備えている。他にも、折り畳み式のバイポッドとモノポッド、衝撃吸収用のラバーパッド、レシーバー左側にせり出した2.5倍率のスコープ、マニュアルセイフティを標準装備している。弾倉挿入口の真上にあるアイアンサイトは、100〜1500mの距離で調節が可能。
　使用弾薬は、20mm×105 ベルテッドケース弾。銃口初速は750m/秒で、距離100m・傾斜90度で35mmの防弾鋼板を貫通する(距離300mなら27mmまで貫通)。

　「S-18/1000」は、より強力な弾薬が使用できるように改良したモデル。銃身はより長身になり、穴の数を増やした新たなマズルブレーキが装着されている(穴の数は、1個/4個/5個の3種類)。ボルトハンドルは手回し式のものに変更となった。アイサンサイトの位置はスコープの真上に変更となったほか、新たに折り畳み式サイトも追加されている。
　標準では10連弾倉を使用するが、2cm Flak30対空機関砲(後述)の20連弾倉も装着可能。銃口初速は850m/秒で、距離100m・傾斜90度で40mmの防弾鋼板を貫通する(距離300mなら35mmまで貫通)。

　発砲の手順は以下の通り。
　１：レシーバー右側のハンドルを引いて、ボルトを後方まで移動させる
　　　(S-18/1000では、時計回りに2回転半ほど回す)
　２：ボルトが最後端まで下がると、シアにより固定されるので、ハンドルを元の位置に戻す
　　　(S-18/1000では、逆時計回りに2回転半ほど回す)
　３：弾倉を挿し込むとボルトが自動で前進し、弾薬が薬室に装填される
　４：トリガーを引いて発砲した後、ボルトは後退位置で固定される
　５：次弾を撃つ場合は、レシーバー左側のシアリリースレバーを操作してボルトを前進させ、弾薬を再装填する

　二輪付きの銃架も用意されていたが、両モデルともサイズが大きく重量もあるので携行は困難を極める。また、構成部品の大部分が削り出し加工で製作されているので生産コストが高いという問題もある。
　上記モデル以外にも、S-18/1000を対空機関砲用にフルオート仕様にした「S-18/1100」や、S-18/1100ベースの「2cm Flak30対空機関砲」も開発されている。また、旧日本陸軍も九七式自動砲の開発にあたって、S-18/100を参考にしたとされている。
　イタリア軍は第二次世界大戦において、S-18/1000を搭載したL3軽戦車(L3 cc)を少数ながら使用していた。