ヒューズ TOW / Hughes Aircraft TOW 【対戦車誘導弾】 †
モデル | 全長(弾体のみ) | 弾体重量,弾頭重量 | 口径(弾体直径) | 装弾数 | 製造国 |
TOW2B | 121.9cm | 22.6kg,12.4kg | 14.9cm | 1 | アメリカ |
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1970年、ヒューズ・エアクラフトがアメリカ陸軍向けに開発した対戦車ミサイル。TOW(トウ)とは発射や誘導方式を表した『Tube-launched, Optically-tracked, Wire-guided』の略称であり、対戦車ミサイルとしては第2世代に属する。 アメリカ軍での制式名はBGM-71。
ロケットモーターは一般的なミサイルとは異なり弾体側面に配置されており、尾部には誘導用のワイヤー(電線)を繰り出すリールと、誘導用のランプが仕込まれている。発射後はこのランプの光を照準器が捉え、光点(つまりミサイル)が目標に接近・命中するようにワイヤーを通じて誘導する。このため、ミサイルが命中するまで射手と発射機はその場を動けないが、照準・誘導が半自動化されているため、全て目視に頼っていた第1世代のミサイルよりもはるかに簡便で命中率も高い。また飛翔速度も高いので命中までの時間も短縮されている。
最新型TOW2Bの装甲貫通力は700mm以上。射程も長く、最大有効射程は3.75km、これを21秒で飛翔する。
ミサイル本体は輸送用コンテナを兼ねたチューブに収められており、これをランチャーにセットして発射する。一応歩兵での運用も可能だが、総重量100kgを優に超すため*1、HMMWVなどの軽車両やベルAH-1ヒューイコブラなどのヘリに搭載しての運用が一般的である(特にM2.M3ブラッドレー歩兵戦闘車に搭載されているのが有名)。
TOWは西側諸国に広く採用されたほか、冷戦終結後はハンガリーやリトアニアといった旧共産圏諸国にも輸出されるようになり、今や対戦車ミサイルの代表的存在となっている。その間も改良が続けられ、先端に伸縮式の『角』を設けて射程と貫通力を増したITOW、弾頭を大型化したTOW2を経て、トップアタック(装甲の薄い戦車の上面を攻撃する)能力を追加したTOW2B(BGM-71F)が現在の主力である。また対戦車型だけでなく、塹壕などを攻撃するバンカーバスター型(BGM-71H)も存在する。
現在はレーザー誘導や撃ち放し能力など、より優れた誘導システムを持つ第3世代ミサイルが登場し始めているが、採用各国ではまだまだTOWが主力の地位を守り続けている。最近ではイラク戦争において、潜伏中のサダム・フセインの長男ウダイ、次男クサイを攻撃する際にも使用された。
TOW自身も、さらに撃ち放し能力を追加した『TOW F&F(Fire-and-Forget;撃ち放し)』などが計画されているものの、今のところ具体化されていない。
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