HAS パンツァーファウスト / Panzerfaust 【対戦車擲弾発射器】 †
モデル | 全長 | 重量 | 口径 | 装弾数 | 製造国 |
PzF.30 | 1045mm | 5.22kg | 150mm | 1 | ドイツ |
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PzF.60 | 1045mm | 6.8kg |
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PzF.100 | 1045mm | 6.8kg |
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PzF.150 | 1051mm | 7.0kg |
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パンツァーシュレックとほぼ同時期に開発された、使い捨て型の対戦車用グレネードランチャー。当時のドイツ軍ではパンツァーシュレックとひとくくりにして「ラケーテ(ロケット)」とも呼んでいた*1。射出される弾体に空力安定板が備えられるなど、ロケット弾と非常によく勘違いされやすいものの、弾体部分にロケットモーターは無い。
戦車猟兵*2の装備であったパンツァーシュレックとは異なり、装甲擲弾兵*3の装備として大量配備すべく極力簡単な構造で作られ、部品は成型炸薬騨である弾頭と、弾頭を射出させる火薬を詰めた発射筒の2つで構成されていた。使用のさいはこれを小脇にはさみ(近距離で照準器を用いない場合は肩に担ぎ)、30型ではボルトを引き、ボタンを押してスプリングを解除して発射、60型以降では照準器兼安全装置を起こし、発射スイッチを握って押すと発射筒内の火薬に点火し、弾頭を発射する。射程距離は短く、弾道も山形で命中させるのは容易ではなかったものの、当時の連合軍戦車の殆どを撃破できる装甲貫通力を持っていたため、対戦車火器の慢性的な不足にあえぐドイツ軍の切り札として1943年後半頃から順次部隊に配備された。
弱点であった射程の短さも徐々に改良が施されていった。1944年の夏に登場した「パンツァーファウスト60」、同年秋の「パンツァーファウスト100」、そして最終生産型の「パンツァーファウスト150」(名前の後の数字がそのまま射程メートル)と次第に射程は延び、連合軍の戦車兵にとって恐怖の対象となった。
小型で携帯性に優れた強力な対戦車火器として兵士にも人気があり、終戦までのたった2年間での総生産数は約670万基にものぼる。一方で、大戦末期には相当数がソ連軍に鹵獲されて使用され、ソ連兵らにも好評であった。
戦後ソ連は、捕獲したパンツァーファウスト150、そして試作段階であった、使い捨て型ではなく再装填可能なパンツァーファウスト250を参考に改良、自国向けとして「RPG2」*4を開発し、後に発展型の「RPG7」を作り上げた。一方、西ドイツもRPG7同様にロケットモーター付きの弾頭を発射する携帯式無反動砲・パンツァーファウスト44を開発、現代では後継の「パンツァーファウスト3」が配備され、陸上自衛隊やスイス陸軍でもライセンス生産版を採用している。
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