FFV M2 “カールグスタフ”【無反動砲】 †
モデル | 全長 | 重量 | 口径 | 装弾数 | 製造国 |
M2 | 1130mm | 14.2kg | 84mm | 1 | スウェーデン |
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M3 | 1130mm | 8.0kg |
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M4 | 950mm | 6.6kg |
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1964年に開発されたスウェーデン製無反動砲。同国の国営兵器開発局KAFTで1948年に開発され、同じく国営の兵器製造局FFV(Förenade Fabriks Verken)のカールグスタフ兵器工場*1で製造されたGranatgevär m/48を祖とする。後にカールグスタフ兵器工場がボフォース社傘下となり、更にボフォース社がサーブ社傘下となった2015年現在ではサーブ・ボフォース社において製造されている。
ライフリングの刻まれた砲身から大量の炸薬によって発射される砲弾は、弾種にもよるが砲口初速は250m/sに達し、有効射程は700mに及ぶ。開発された1960年代当時の個人携行式対戦車兵器としては、破格の飛翔速度と有効射程を誇った。この種の無反動砲は、主な目標である装甲車両の進化について行けず、今では多くが第一線から退いているが、M2は各種の改良により生き残った。特に大きかったのはロケットアシスト式の新型HEAT弾・FFV551の開発で、これによってM2は新世代の装甲車両にも対抗可能となった。
射手と装填手の2名で運用される本砲は、歩兵携行火器としては大型の部類に入り、当時の主力戦車を500Mの距離から撃破できる威力を持っていた。本体は使い捨てではなく、弾薬を再装填して繰り返し使用可能だ*2。主力弾であるHEAT弾(FFV551)以外にもHEやHEDP、照明弾、煙幕弾など様々な弾種が使用可能。2015年現在の最新の弾頭の有効射程は1000m超に達しており、世界各国の携行型兵器の中でもトップクラスの有効射程を誇る。
なおM2はスチール製で、1991年に登場した改良型のM3は砲身以外のスチール製部品をアルミ合金やカーボン繊維強化素材に変更して軽量化が施されたモデル。 M4では更にチューブ形状を刷新し、ライフリング部分にはスチールではなくチタンを使用、更に小型かつ軽量な設計となった。
西側諸国の小隊用対戦車火器としてカナダやベルギー、オランダ、イギリス、日本*3、アメリカ(M3)など20ヶ国の制式火器として第一線で使用されている。
アメリカ軍ではUS SOCOM傘下の部隊において「M3 MAAWS(Multi-Role Anti-Armor Anti-Personnel Weapon System)」として広く使われており、特に第75レンジャー連隊で使われていたものは「RAAWS(Ranger Anti-Armor/Anti-Personnel Weapon System)」と呼ばれていた。2011年からはアフガニスタンに展開する一般の部隊にも配備を開始した。2017年9月には陸軍でM4型をベースにした「M3E1(M3A1)」が1111丁採用されるとアナウンスされ、11月には海兵隊でも1200丁のM3A1を購入すると発表された。
なお、この種の武器では後方へのバックブラストが問題になるが、砲手もまた衝撃波の負担が大きい。このため米軍で運用されるカールグスタフは訓練において一人1日6発までと制限が掛けられている。
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