パンツァーファウストIII / Panzerfaust III 【対戦車擲弾発射器】 †![]()
ドイツのデュナミト(ダイナマイト)ノーベル社(Dynamit Nobel AG)が開発した携帯式対戦車擲弾発射器。1978年、西ドイツ陸軍(当時)の要請によって、パンツァーファウスト44の後継として開発に着手され、1992年、統一後のドイツ連邦軍に制式採用された。 本体は使い捨てのカートリッジ(HEAT弾頭&カウンターマス)と、再使用が可能な照準・発射装置から構成されている。外見はRPG7に似ているが、発射筒ごと再利用が可能なRPG7とは違い、こちらは発射筒の部分も使い捨てとなっており、この内部に発射薬とカウンターマスが収められている。発射方式はRPG-7同様に弾頭は無反動砲式で、発射された直後にロケットモーターを点火し飛翔する。発射時には鉄粉製カウンターマスが後方に10mほど噴出し反動を相殺するために、発射炎(バックブラスト)が少なく、建物内部からも発射可能である。照準器とつながったストック、グリップ、フォアグリップ部分は再使用される。このグリップ部はH&K社社で製造されており、同社の刻印とG3/MP5系と類似したセーフティセレクターが付いている。 弾頭は各種あるが、その全てがHEAT(対戦車榴弾)もしくはその発展型である。最初期のパンツァーファウスト3では単体のHEAT弾頭によってRHA換算で700mmもの貫通能力を誇り、有効射程は対静止目標で400m、対移動目標で300mとこれは現代でも指折りの威力である。 パンツァーファウスト3-IT-600という射程や命中精度の向上が為されたモデルも存在する。これはパンツァーファウスト3-ITに、搭載されたレーザー測距計と角速度計による測定値を元にコンピュータで的確な照準点を示す事が可能な照準器「IS 2000」を搭載する事により、射程距離を目標の動静問わず600mまで延伸したモデルである。また、この照準器IS 2000は単体では夜戦に対応していないが、暗視装置「NSA 80」を追加する事で夜戦が可能となる他、パンツァーファウスト3-IT以前の弾頭、及び発射機にも対応しており、それらにこの照準器を搭載した場合には呼称の後ろに「-600」*2が追加される。 また、対戦車用途以外の弾頭を用いるモデルとして、パンツァーファウスト3-BKFがある。これはバンカーなど鉄筋コンクリート建造物などを標的とした弾頭で、RHA換算で100mm、コンクリートで360mmの貫通性能を持つHEAT弾頭の後方にHE弾頭が備えられたもので、これにより強固な遮蔽物の後方に隠れた標的への攻撃を可能としたモデルである。 戦車を正面から撃破できる強力な貫通力(最大700mm以上の圧延均質装甲板を貫通できる)を持ち、人員携帯型ロケット弾としては最大級の貫通力がある。取り扱いも簡単で安価な事からドイツ以外でも、スイスでは「PzF84」、日本では「110mm個人携帯対戦車榴弾」の名前で採用、ライセンス生産されている。陸上自衛隊ではLAM(Light Antiarmor Munition:軽対装甲火器)と呼ばれており、また砲ではなく消耗品扱いの個人装備用弾薬として配備されている。
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