イジェマッシ AK-12 / Ижмаш АК-12 【突撃銃】 †
2010年にロシア国防省によって公開されたAKシリーズの最新モデル。ウラジーミル・プーチン首相(当時)が査察のため製造元であるイジェマッシ社へ公式訪問した際、AK-200の名でデモンストレーション段階であった本銃が披露された。2011年からテストが行われているという。2014年12月にはロシア軍への制式採用が決定され、順次配備を進めるとされている。
同社では最新のAK-12はAKシリーズの第5世代に当たるとしている。
外見はAK-74Mを元にして明らかな改良点が見られ、セレクターがグリップハンドの親指で操作可能なアンビのものとなり、押しボタン式のマガジンキャッチが追加されている。重要な変更点として、単なる「カバー」であったため土台自体の固定精度が緩く各種光学照準器の設置に適していなかったレシーバーのトップカバーがヒンジ付きのものとなっており、固定精度を大幅に高めている。
ハンドガードやレシーバートップにピカティニーレールを備え、ダットサイトやレーザーサイト、フラッシュライトなどを取り付けられるようになっている。またこれまでのGP25/GP30擲弾発射器を銃身下に取り付けることも可能。ストックは、伸縮折り畳み可能な新型になっている。ヒンジ部が新設計となっているようだが、AK-74Mと同様の外観のストックへ交換することができるようだ。
マガジンはAKシリーズと共用可能で、50発*1の複々列弾倉や95発のドラムマガジンにも対応する。バレルやフラッシュハイダーにも改良が加えられ、射撃精度もより向上したとメーカーは主張している。
軍用バリエーションとして、カービン型のAK-12U、拳銃弾を使用する短機関銃型のPPK-12、狙撃銃型のSVK-12、軽機関銃型のRPK-12が計画され、民間型として.223レミントン弾モデルや12ゲージの散弾銃型モデルが予定されていた。
2016年にはレシーバー周りが旧来型に近いものに先祖返りしたモデルが発表された。変更点として伸縮式バットストックがM4タイプのものとなり折畳機構もAK-74M/AK-100系と同様のものとなっている。セレクターもコッキングスロットのダストカバーを兼ねた従来型となっているが、クレブスのような民間のモダンカスタムAKに見られる、グリップハンドの人差し指で操作が行えるベロ状ステップが追加されている。ハンドガードはフリーフロート化され、トップカバーの固定方式はヒンジから前後の楔ピン式に変更された。
ガスブロックは他の近代的なガスピストンシステム同様先端プラグ式となっており、これを取り外すことでガスチューブ内部の清掃が可能となった。一般的にはガスブロックのプラグはガス圧調節ダイヤルを兼ねることが多く、AK-12系統も将来的にこのパーツを交換するだけでガス圧調節が可能になるものと見込まれている。
マガジンは5発ごとの残弾確認窓が追加され、底面を地面と水平にカットしてマガジン自体が簡易なモノポッドとして機能するようになったほか、ユニークな機構として、5.45mm×39弾仕様と5.56mm×45弾仕様では30発フル装填時には底面プレートからピンが突出し、フル装填済みであることを認識可能となっている。この新型マガジンと旧来のAKライフルのマガジンとは、相互に共用可能である。
2022年現在、ロシア軍が装備するAK-12の生産型は上記とほぼ同等のものである。フリーフロートバレルなど一部に特徴的な設計は見られるものの、全体として民間型カスタムAKクローンレベルの仕様に落とし込まれている。
2022年2月24日に勃発したロシアによるウクライナ侵攻では本銃をロシアのみならず鹵獲したウクライナでも多数運用する事となったが、双方ともに旧来のAK-74Mや、コンツェルン・カラシニコフによる改良型であるAK-74RMO*2の方が優れているとの評価が多いようだ。新しいハンドガードはプラスチック製で金属製のインサートも無く、手で押しただけで容易くたわむことから照準機器の装着に向かない。レシーバーのトップカバーは各種照準器用のマウントレールを備えたにも関わらず固定に問題があり、カバーの着脱のたびゼロインが狂う。ガスチューブは旧モデルのように通常分解では取り外すことが出来なくなり、清掃がかえって困難になっている。*3
2023年には、シリーズの最新モデルである「AK-12M1」の生産がスタートする予定である。
バリエーションについては「AK-12」が5.45mm×39弾モデル、「AK-15」が7.62mm×39弾モデルとなった。カービンモデルとして「AK-12K」「AK-15K」が。軽機関銃モデルとしては5.45mm×39弾仕様の「RPK-16」がある他、民間向けにはセミオートのみの「TR-3」がロシア国内の銃規制に対応した10発マガジンと共に販売されている。
このページの画像は
ウィキメディア・コモンズから転載しています。
転載に関しては、転載元の転載規約に従って行ってください。