「中国兵器工業集団有限公司」のグループ会社である、中国最大の兵器輸出企業。
社名の英語表記の頭文字である「Norinco」は公称であり、公式ウェブサイトのアドレスなどにも使用されている。
中国北方工業公司は、1981年に当時中国各地にあった人民解放軍の兵器工廠を企業化(国営企業)し、統括する管理企業という形で誕生した。
1999年に親会社となる中国兵器工業集団有限公司ことノリンコグループが発足し、ノリンコ傘下の軍需企業がノリンコグループ傘下へと移管されており、現在の中国北方工業公司はノリンコグループ傘下や他の中国軍需企業が製造する兵器の輸出や、兵器製造に必要な生産財の輸入を手掛けている。
小は拳銃から大はミサイル・戦車・自走砲まで、中国の銃器・兵器輸出を一手に引き受ける貿易公社だが、ノリンコグループ傘下の軍需企業が民需部門で民間向けに製造しているトラックや大型バスの輸出、さらには鉄道や発電所などのインフラ建設まで手がけるなど、守備範囲は非常に広い。国境監視・防空システム、軍事プロジェクト等のシステム構築でも存在感を示している。
イランなどへの技術協力・供与も進めているほか、民生分野においては日本企業と合弁することもある。
現在ではノリンコグループ傘下だった軍需企業の内、特に小火器と小火器用弾薬の製造に関わっている企業の殆どが、中国南方工業集団公司*1の傘下へと移管されているため、ノリンコグループ全体としても小火器製造には殆ど関わっていない。
また慶華工具廠のように、中国における小火器製造の基幹工廠の一つとして長年に渡り54式手槍や56式自動歩槍を製造し、ノリンコブランドで輸出までしていながら、ノリンコ及びノリンコグループ傘下には一度も加わっていない工廠も存在している*2。
ノリンコと関わりの深い銃火器製造企業と、その製品たる銃火器は以下の通りである。
また便宜上、中国で製造されているがメーカーが不明となっている銃火器も以下に掲載する。
1999年6月29日に中国兵器工業集団有限公司の傘下にあった銃火器及び銃火器用弾薬製造企業が移管される形で発足したグループ企業。
詳細は個別ページ参照。
前身は国営626廠(慶華工具廠)。
1951年に短機関銃の製造を担当する工廠として発足し、ソ連製短機関銃のライセンス生産を担う事となったが、中国軍で56式自動歩槍が短機関銃として扱われる事となった為、56式自動歩槍の製造においても中心的役割を果たしていた。
また、短機関銃の製造を担うはずだったが、経緯は不明なものの拳銃の生産でも中心的役割を果たしていた。
81式自動歩槍の競作に負けて以来、東西冷戦の融和による国際的な銃器価格の低迷に加えて、民需事業の低迷もあって経営難に陥り1988年に首都鋼鉄集団有限公司の傘下に入り首鋼慶華廠となった後、56式自動歩槍の短銃身モデルであるQBZ-56Cを設計開発して中国軍に採用されたのが最後の華となり、2005年に破産して消滅している。
このため、ノリンコ傘下には一度も入っていないが、その製品の輸出はノリンコが担っていた。
銃への刻印は"△の中に数字の66"、もしくは単に"数字の66"と打刻されている。
54式手槍(トカレフのライセンス生産型である51式を自国向け改良型)
59式手槍(マカロフのライセンス生産型)
50式冲鋒槍(PPSh-41のコピー)
54式冲鋒槍(PPS-43のライセンス生産)
64式微声冲鋒槍
56式冲鋒槍(AK-47のライセンス生産型)
56-1式冲鋒槍(56式自動歩槍の下面折畳ストック型)
56-2式冲鋒槍(56式自動歩槍の側面折畳ストック型)
QBZ-56C(56-2式自動歩槍の短銃身型)
84S(56式冲鋒槍の輸出型、5.45mmx39ないし5.56mmx45仕様)
NHM-90(56式冲鋒槍の輸出型、 7.62mmx39ないし5.56mmx45仕様)
前身は1966年に発足した国営9439廠(山東機械修理廠)であり、兵器修理の傍らに小規模ながら拳銃生産を行っていた。
1984年に山東省の工廠を軍需から民需へと転換する事となり、国営9439廠も別称を山東中興機械廠へと改称し、民間向けに空気銃の生産を開始したが対外債務により経営難に陥った。
2004年に臨沂市政府と臨沂市共産党委員会により資金貸付を併せた建て直しが図られ、2008年に現在の山東軍興機械有限公司へと再編された。
このような経緯があり、現在は親会社である山東軍星兵器装備集団公司を含めて山東省との繋がりが深いものの私企業であり、ノリンコ傘下ではない。
山東省唯一の銃器製造企業であり、また中国唯一の民間拳銃製造企業でもある。
国営626廠が破産消滅した後も54式手槍などの拳銃製造を担っており、ノリンコブランドで輸出している他、独自開発したP12などの拳銃は親会社の軍星ブランドで販売している。
銃への刻印はノリンコブランドの場合は"数字の99"、軍星ブランドの場合は"スコープのレティクルを模した円の中にアルファベットのTX"が打刻されている。
54式手槍
54-1式手槍(54式手槍にサムセイフティを追加した輸出仕様)
M213(54-1式手槍の9mm口径仕様)
NP18(FN ハイパワーのコピー)
FN M1910(コピー)
マウザー C96(コピー)
P12
P19(P12のコンパクトモデル)
福建省竜岩市の工廠。
56式自動歩槍などを製造し、ノリンコブランドやPoly Technologiesブランド*3で輸出していた。
ハンター(バルメ ハンターのコピー、7.62mm×39仕様)
56式冲鋒槍(AK-47のコピー)
MAK-90(56式冲鋒槍の輸出型、 7.62mmx39仕様)
前身は1954年に国家林業部が散弾銃製造指定工廠として発足させた斉斉哈爾猪槍廠をルーツとしており、中国銃器メーカーにしては珍しい事に軍をルーツに持たない。
親会社である雄鷹投資集団有限公司と共にノリンコ傘下ではなく、民間企業として中国警察へ散弾銃を納入している他、ノリンコブランドや自社の社名に因んだ"Hawk"ブランドでの輸出も行っている。
97式18.4mm霰弾槍(M870のコピー)
HP9-1(97式18.4mm霰弾槍の輸出型・ノリンコブランド)
QJ12-101(97式18.4mm霰弾槍の輸出型・ノリンコブランド)
Hawk 982(97式18.4mm霰弾槍の輸出型・自社ブランド)
別称は396廠。
中国での訓練銃や競技銃、猟銃ブランドであるJWシリーズの開発製造は1955年より国営296廠が担っていたが、1964年からは河南中州機械廠が引き継いでいる。
4.5mm及び5.5mm口径の空気銃ブランドであるKLシリーズの開発製造も行っている。
55式小口径歩槍(TOZ-8のコピー)
JW-5(55式小口径歩槍の改良型)
JW-8(BRNOのコピー)
JW-9(JW-8の改良型)
JW-15(JW-9の改良型)
JW-17(JW-9の改良型)
JW-27(JW-15の改良型)
JW-103(JW-15の7.62mm x39弾モデル)
JW-105(JW-103の5.56mm x45弾モデル)
JW-21
JW-23(JW-15の.22WMR仕様)
JW-25(Kar98Kを模した.22LRモデル)
JW-101(G33/40をコピーした7.62mm x39弾モデル)
JW-10(SQUIRES BINGHAM Model 20Pのコピー)
JW-14(JW-10の改良型)
JW-20(ブローニング 22のコピー)
JW-26(Marlin Model 60のコピー)
JW-87
JW-2000
JW-2005(M870のコピー)
前身は国営972廠(浙江新華機械廠)。
親会社である浙江省機電集団有限公司は浙江省省政府による持株比率が68.02%*4となっている実質は省政府所有の企業であり、国有企業であるノリンコの傘下ではないが、製品の輸出販売はノリンコが行っている。
NP22 / NP226(P226のコピー)
NP34 / NP228(P228のコピー)
82-2式匕首槍*5
前身は1965年に発足した国営9656廠(湖南資江機器廠)。
親会社である湖南省兵器工業集団有限責任公司のその更に親会社である湖南湘科控股集団有限公司は湖南省人民政府国有資産監督管理委員会が保有する国有企業であり、ノリンコの傘下ではない。
他の工廠でライセンス生産していた53式軽機槍や56式班用機槍などで採用されていたフラップ閉鎖方式と、ベトナム戦争で鹵獲したM16のガス直噴方式を組み合わせた、軽量な大口径火器の設計開発を得意としているようで、12.7mm口径の対空機関銃でも他国製より軽量に仕上げている。
その成果の一つである87式自動榴弾発射器は、個人携行可能な中機関銃クラスの重量でありながら、恐らく世界唯一の個人携行可能かつセレクティブファイヤによるフルオート射撃が可能な自動擲弾筒となっており、NATO等で普及しているMGLと比較して着脱マガジン式、1.5〜2倍の初速・射程を持つ等高い性能で、輸出用としても中東やアフリカの各国で広く普及している。
銃への刻印は"横長の長円形の中に数字の9656"と打刻されている。
QLZ-87自動榴弾発射器
QLZ-04自動榴弾発射器
QLB-06(QLZ-87B)半自動榴弾発射器
QLU-11狙撃榴弾発射器
LG5 40mm自動榴弾発射器(QLU-11の輸出用モデル、40mm×53仕様)
LG3 40mm自動榴弾発射器
LG4 40mmリボルバー式榴弾発射器
77式高射機槍
85式高射機槍
W95式重機槍(85式の輸出用モデル、12.7mmx99仕様)
M99半自動狙撃歩槍
1951年に中国軍が朝鮮戦争へ介入した際、北京東部郊外の慈雲寺に銃や砲の修理拠点を設置した事により発足した華北軍区後勤*6部軍械部修炮所がルーツ。
1953年には慈雲寺の敷地が手狭になったため、1954年に現在の所在地となる北京西部郊外の石景山区黒石頭地区へ移転すると共に北京軍区修炮廠へと改称、1959年に北京紅旗機械廠、1980年8月に北京西山機械廠へと改称している。番号での呼称は1965年7月に7312工廠と決定した。
1958年8月から56式半自動歩槍の生産を開始、1960年代には華東工程学院(現、南京理工大学)と共に65式37mm双管高射炮の開発に関わった。
1983年以降、軍需の減少により民需事業を開始し、日本の自動車部品メーカーである日興との提携を切欠として自動車部品事業を行っている。
これらの経緯により発足当初から北京の軍区の管轄下にあり、現在は中国人民解放軍中部戦区陸軍保障部の管轄下となっており、ノリンコの傘下ではない。
56式半自動歩槍(SKSのライセンス生産型)
56-1式半自動礼賓槍(56式半自動歩槍の儀仗銃仕様*7)
詳細不明
82式衝鋒槍(Wz63のコピー)
別名、岷山機器廠。
M320(Uziのコピー)
別名、河南慶華機器廠。
411冲鋒槍(ヤティマティックのコピー)
現、湖北江華汽車工業公司。
85式冲鋒槍
詳細不明。
ノリンコが輸出した銃器の一部には、特に1990年以降で顕著だが製造工廠を示す刻印が無い事が多く、以下の銃では製造元が分かっていない。
1911A1 (コルト・ガバメントの軍用規格品コピー)
64式微声手槍
NZ75(Cz75のコピー)
56式冲鋒槍(AK-47のコピー)
86S自動歩槍(56式の民間輸出用ブルパップモデル)
88S(5.45mmx39仕様の民間輸出用モデル、外見はAK-74だが内部機構は56式)
88SB(88Sの7.62mm x39弾仕様)
NHM-91(RPKに似た民間輸出用モデル)
BWK-92(56式冲鋒槍の輸出型、5.56mmx45仕様)
89式単兵反坦克火箭筒(PF-89)
98式反坦克火箭筒(PF-98 "Queen Bee")
・NORINCO 公式サイト
・NORINCOequipment 公式サイト
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