スターリング Mk2 (L2A1) / STERLING Mk2 【短機関銃】 †
モデル | 全長(伸長時) | 重量 | 口径 | 装弾数 | 連射速度 | 発射形式 | 製造国 |
Mk.2(L2A1) | 483(690)mm | 2,720g | 9mmx19 | 10/15/30/34 | 550発/分 | S/F | イギリス |
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Mk.4(L2A3) | 485(690)mm | 3,220g | 9mmx19 | 10/15/30/34 | 550発/分 | S/F | イギリス カナダ インド |
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Mk.5(L34A1) | 651(854)mm | 3,555g | 9mmx19 | 10/15/30/34 | 550発/分 | S/F | イギリス |
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Mk.7A4 | 380mm | 2,400g |
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イギリスのスターリング・エンジニアリング社開発の短機関銃。通称『スターリングSMG』。
元々は第二次大戦中の1942年、イギリス軍の要請を受けて開発された特殊部隊向けの折りたたみ型短機関銃で、当初は設計者ジョージ・ウィリアム・パチェットにちなんで『パチェットSMG』と呼ばれていた。大戦中は結局、少数が試験的に軍に納入されたに終わったが、数次の改良を経て、1953年にスターリングMk.2モデルが制式名L2A1としてイギリス軍に制式採用された。
スターリングSMGは円筒形のレシーバー、左側面に設けられたマガジンハウジング、プレス加工を多用した生産性の高い構造など、大戦中のステンにも通じるイギリス伝統の設計・構成を採っている。一方、独立したピストルグリップや、放熱孔付きのバレルジャケット、パンタグラフ式にコンパクトに折りたためるリアストックなどを装備し、戦時急造のステンに比べればはるかに洗練されたモデルとなっている。
シンプルな構造ゆえに整備性も良好。またボルト表面に刻まれたらせん状の『溝』によって、内部に入り込んだ泥や埃を自動的に掻き出す独特な仕組みが採用され、信頼性をさらに高めている。
細かいところでは、マガジンフォロアーにローラーを仕込んで、マガジンのがたつきから来る給弾不良を防いでいる。また、ステンSMG用のマガジンをそのまま流用できるようにボルトの形状を工夫するなど、芸が細かい。
発射速度も毎分550発と比較的低く、コントロールしやすい。また短機関銃には珍しく、着剣が可能なのも特徴の一つだ(バヨネットラグは、バレルジャケット先端・左斜め下に設けられている)。
セミオートオンリーの制式ライフルL1A1を補助する意味もあり、スターリングSMGはイギリス全軍で広く装備された。後に改良型のMk3(L2A2)、Mk4(L2A3)も追加採用。サイレンサーを組み込んだMk5(L34A1)や、銃身を短縮してリアストックも省略、フォアグリップを追加したショートモデルMk7A4など様々なバリエーションも登場した(Mk5はイギリス陸軍特殊部隊SASにも採用されている)。
またイギリス以外でも、中東、アフリカ、南米諸国など90カ国以上で採用され、カナダ、インドではライセンス生産も行われた。
その後、本家イギリスではエンフィールド L85と交代して第一線から退いたが、第三国では今なお現役を続けているものも多く、インドでは少なくとも2002年までライセンス生産が行われていた。
堅実な設計と高い信頼性を持つ本銃は、良い意味でイギリスの保守性が発揮された名銃とも言える。日本ではいまいち知名度に劣るが、IMI ウージーやH&K MP5と並ぶ戦後もっとも成功したSMGの一つであることは間違いない。
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ziokuke