ウィンチェスター M70 / Winchester Model 70 【小銃】 †
1936年にウィンチェスター社が同社のM54の後継として開発したボルトアクションライフル。
ウィンチェスター社を代表する小銃であるが、1962年に登場したレミントン M700の流行に対抗するため1964年から大幅に設計が変更されたことから、オリジナルの「プレ64(1964年以前のモデル)」と「ポスト64(1964年以降のモデル)」と呼ばれ区別されている。
オリジナルのいわゆる「プレ64」モデルでは、モーゼルタイプのコントロール・フィードアクションを採用。ストックにはカット・チェッカリング(手作業による凹凸の彫り込み)が設けられ、より確かなグリップを可能としていた。
「ポスト64」モデルはアクションがライバルのレミントン700同様のプッシュフィード・アクションに変更。また、チェッカリングも機械プレス式のものに変更され、グリップ性には若干劣るものとなった。
この他にも大半の製造工程が手作業から現代的な機械生産方式に変更された。レミントン700と比べて決して悪い品質ではなかったが、大幅な変更は旧来のユーザーには不評であり、また大規模機械生産は初めての試みであったことから初期には不具合のある個体も少なくなく、この時期には本銃の人気は大いに下落した。
1992年にはプレ64モデルの生産工程をベースに、改良されよりスムーズになったアクションや、現代的なアルミ・ポリマーシャーシなどをラインナップした「モデル70クラシック」シリーズを展開。この製品の成功を受けて、2006年には新しい「モデル70」として再展開を開始。「プレ64」アクションを搭載した高品質モデルとして現在もウィンチェスター社製品にラインナップされている。
狩猟用ライフルとして高く評価されていたことから、第二次世界大戦時代から.30-06仕様のものがアメリカ軍では狙撃銃として使用された。その後もベトナム戦争中期まで「プレ64」モデルは散発的に調達され、アメリカ海兵隊の伝説的狙撃手、カルロス・ノーマン・ハスコックII世にも使用されている。
このベトナム戦争時代にアメリカ軍で「狙撃銃」の制式化が始まったため、より大量生産に適していたレミントン700にM40としてアメリカ軍制式の座を譲る形となったが、NATO標準の7.62mm×51弾仕様のM40より強力で長射程の.30-06弾を使用可能な本銃は、ベトナム戦争中は並行して使用された。
また、本銃の設計は1989年のウィンチェスター社買収移行後、同じグループ企業となっているFNハースタル社の法執行機関向けライフル「SPR(Special Police Rifle)」のベースとなっている。
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