QSZ92 (92式手槍) 【自動拳銃】 †
中国の国営236廠(長風機器廠)が開発した中国初のポリマーフレーム自動拳銃。製造は同じ中国兵器装備集団公司傘下の建設工業集団有限責任公司でも行われている。
中国の軍・法執行機関で使用されていた54式拳銃や64式拳銃、77式拳銃の後継となる制式拳銃として開発され、1998年にQSZ92 (92式手槍) として採用された。現在、中国軍の他、バングラデシュの軍隊と警察へも配備が進んでいる。
ピストルカービンキットやコーナーショットに組み込んで運用される事もある。
撃発は露出ハンマー式で、ショートリコイルで作動。トリガーはダブル・シングルアクション兼用。マニュアルセイフティはアンビタイプで、デコッキングレバーを兼ねる。ロータリーバレルロッキングを採用している点などを除けば、軍用拳銃としてはオーソドックスな手堅い設計となっている。
使用弾薬には世界標準ともいえる9mm Para (9mm×19)弾を採用している。ただし中国で制式弾薬となっているDAP92式9mm普通弾はより有効射程が長く、貫通力の高いスチールコア(鉄製の弾芯)を採用している*1。
このほか、フレーム側の機構を全てスチールプレス製のインナーフレームに収めてコンポーネント化し、整備性を高めている点や、アクセサリーレールをたわみやすいポリマーフレームではなく、前方に露出させたインナーフレーム側に設けている点など、優れた設計も見られる。
ラインナップには、アクセサリーレールを一般的なピカティニーレールとしたQSZ92Gの他、2001年に完成した中国独自の5.8mm×21弾を使用する「QSZ92-5.8(92式5.8毫米手槍)」が存在する。
QSZ92-5.8はターンバレル式ブローバックとでも云うべき独特の機構を採用しており、銃身側のジグザグ溝とスライド側の突起のかみ合わせによって、スライドが一定距離を後退したところで銃身が45°回転するという、もともとのターンバレルロック・ショートリコイルからロックとショートリコイルを省いたような動作をする。発砲の反動を銃身の回転に利用することで、リコイルショックを軽減する効果があるとされる。また、使用される5.8mm×21弾はベルギーのFN社製P90とファイブセブンで使用される5.7mm×28弾に似たボトルネック形状の弾丸である。しかし、同じ弾薬を使用する短機関銃として開発された05式微声沖鋒槍が不評だった事もあってかこの弾薬はあまり普及しなかった。
2021年には新たな改良型としてスタンダードモデルのQSZ92A、コンパクトモデルのQSZ92B、サブコンパクトモデルのQSZ193が公表され、軍や武警などに配備が始まっている。いずれも9mm Para (9mm×19)弾を採用しており、アクセサリーレールをピカティニーレール化、スライドのセレーションを前半部にも追加、スライドリリースのアンビ化がされている。またQSZ193は撃発をストライカー式としている。
QSZ92-9の輸出モデルとして、ノリンコブランドの「NP42(上掲写真)」及び「CF98」とそのサブコンパクトモデルである「NP42 Mini」「CS/LP5」及び「CF07」、アクセサリーレールをピカティニーレールとした「CF98A」とNP42のピカティニーレールモデルが製造・販売されている。
またイラクのDIO*2ではノリンコの技術指導によりNP42のピカティニーレールモデルがBabel*3という名称で70%ほどの部品を国産化しての現地生産が行われている。
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