CBJテックAB CBJ-MS 【短機関銃】 †
全長(/縮小時) | 銃身長 | 重量 | 口径 | 装弾数 | 連射速度 | 発射形式 | 製造国 |
565/363mm | 200mm | 2.8kg | 9mm×19 6.5mm×25 CBJ | 20/30/100 | 700発/分 | S/F | スウェーデン |
CBJ-MSは、スウェーデンのカール・ベルティル・ヨハンソンと、彼が設立した武器開発企業であるCBJ*1テックABによって発案・設計されたPDW/短機関銃である。CBJ-MSはCBJモジュラーシステム(Modular System)の略。
2000年代初頭にイギリス軍が関心を示し、スウェーデンの軍需企業であるサーブ・ボフォース社がプロジェクトのスポンサーとなっていたが、結局イギリス軍はCBJ-MSへの関心を失い、サーブ・ボフォースもプロジェクトから撤退した。しかし、CBJテックABはその後も本体と弾薬の開発を継続している。
CBJ-MSのシステムの中核となっているのは6.5mm×25 CBJで、弾丸本体はタングステン製の4mm径31グレインの弾芯を軽量なポリマーのサボで覆った徹甲弾である。
6.5mm×25 CBJは8インチ長の銃身による発射で初速が秒速830mまでに達する高速弾である。CBJテックABによるテストでは、弾道特性は200mの距離で8インチ銃身による射撃で、14.5インチ銃身のM4から発射されるSS190弾に匹敵し、M4よりも短いAUGパラからの発射ではむしろ勝るほどであるとしている*2。
貫通力は非常に高く、ボディアーマーに対しては、CRISAT(NATOの規格)規格のものなら230m、7mmの圧延防弾板のものなら50mまでの距離から貫通でき、非装甲の目標に対してはスプーンチップ*3の弾芯がヒット直後にタンブリングを起こし外傷を悪化させる。
6.5mm×25 CBJで使用される弾体は、同口径の従来弾の薬莢にも装填して使用可能である。また、6.5mm×25 CBJ自体も本銃以外による使用も考慮されており、9mmパラベラム弾仕様の銃なら、銃身とリターンスプリングを交換するだけで6.5mm×25仕様に換装できる。6.5mm×25 CBJの薬莢は9mmパラベラム弾のそれを前方に延長しネックダウンしたもので、リム径も同寸となっているからだ。
この高い互換性により、6.5mm×25 CBJによって既存の軍用拳銃の性能を飛躍的に向上、また従来のカービンをより軽量なSMGモデル(またはSMGそのもの)と、同重量であれば5.56mm×45弾の3倍の弾数を携行可能な6.5mm×25 CBJ弾によって置換可能であるとし、他のPDWよりも弾薬そのもののモジュラー性を強くアピールしている。
作動方式はオープンボルトからのブローバック方式。初弾の精度を求める場合には、ファイアリングピンが独立したボルトアセンブリと交換することで、クローズドボルトに変更することが出来る。銃身の交換は、レシーバー前端のバレルナットの締め外しだけで容易に行え、使用弾変更やメンテナンスの為の分解に負担がかかりにくい。セレクターはなく、セミ/フルの切り替えはトリガーの引き具合で行う。チャージングハンドルはレシーバーの尾部にあり、利き手を選ばず、ボルトとは独立しているため、発砲しても動かない。
グリップはアンビのマガジンリリースボタンを備え、前部はグリップセイフティとなっている。またグリップ上部にはボタン式のマニュアルセイフティもアンビで備え、こちらを操作するとグリップセイフティを安全位置に固定する仕組みとなっている。
マガジンはピストルグリップ内に挿入する方式で、フロントグリップ内に予備を入れておくことも出来る。また20連と30連のほかに100連のドラムマガジンも用意されている。
レシーバートップにはピカティニーレールを備え、各種光学照準器を装着できる。ストックはワイヤータイプで伸縮式。銃身基部に着脱可能なバイポッドのオプションも用意されている。
なお本銃は、PDWとしてはいささか古風なプレススチール製のウージー風の外装となっているが、サーブ・ボフォースがイギリスのフューチャーソルジャー計画に提示した際のモデルは、MP7に似た伸縮式ストックに、黒色ポリマーフレームの未来的な外観となっていた*4。銃身下に独自の多目的光学測器を備え、レーザー照準による位置情報測定はもちろん、リアルタイムで動画情報を共有し、戦闘状況の高速な展開を支援するシステムを備えている。
これらの武器を含めた統合システムはイギリスにおけるプロジェクトから撤退後も、「SAAB Warrior」の名称でサーブ・ボフォースが各国に提示する未来の軽装兵士モデルとして現存している*5。