H&K VP70 【自動拳銃】 †
全長(ストック付) | 重量(ストック付) | 口径 | 装弾数 | 発射形式 | 製造国 |
206(546)mm | 947(1380)g | 9mm×19 | 18+1 | S(/3) | ドイツ |
H&K社が開発した自動拳銃。専用ストックを取り付けることによって3点バースト射撃が可能な機関拳銃にもなり、内部は銃を収納するホルスターとなっている。
第二次大戦末期のドイツでは兵力・火器不足を補うため、容易に大量生産可能で国民全員を武装させられる「国民拳銃(Volkspistole)」の構想を持っていた。1960年代、H&K社がこのVolkspistoleの設計思想を元にして開発した自動拳銃がVP70である。
H&K社のマーケティングディレクター、スティーヴ・ギャロウェイが語るところのVP70は「レジスタンスのための銃」であるという。冷戦時代、ソ連とその共産圏国家の矢面にあった西ドイツがいざ制圧されたときには、抵抗する意思を残した市民がVP70を取って戦うことを想定したものだと述べている*1。こうした背景からか入手や製造の容易な比較的安価で簡素な拳銃となっており、技術や資金に乏しい第三国への輸出をも視野に入れていた。
生産性をあげるため、部品点数の多いショートリコイルではなく、ストレートブローバック方式を採用している。またフレームの材質にプラスチック素材を採用することでコストを抑える事に成功し、後のポリマーフレーム拳銃の先駆けとなった。マガジン容量も通常サイズで18+1発と、当時の9mm拳銃としては飛び抜けた容量を持つ。
外観上の特徴の一つとなっている大型のスライドは、薬室の開放を遅らせるべく重量を稼ぐためのものである。また、ポリゴナルバレルのライフリングをわざと深く彫り込んで、その隙間から発射ガスの一部を逃がすことで腔圧を下げる設計とされた。本来、シンプルなブローバック作動の自動拳銃で大口径の9mmパラベラム弾を発射するのは銃本体への負荷が大きいことから、これらの工夫が採り入れられた。
もっとも、マズルの隙間からガスが漏れる構造のため銃口初速が低く、トリガーもダブルアクションオンリーで操作性は悪かったようだ。このためせっかくのバースト射撃機構もそれほど効果的ではなかった。結局、モロッコをはじめアフリカや南米の数カ国の軍・警察がわずかに採用したのみで、商業的には失敗に終わった。
アメリカ軍制式拳銃トライアルにも参加したものの、もともと高圧カートリッジに向かないストレートブローバック機構と、+P+クラスに分類される米軍の強力なM882 9mm強装弾との相性は非常に悪く、およそ5発に1回*2ジャムを起こしている。
VP70のバリエーションには、バースト機能を廃止し、セミオートのみに制限した民間向けモデルの「VP70Z*3」があり、米国向けとして9mm×21弾仕様のモデルも、400挺のみ生産されている。軍・警察機構向けのモデルには、のちに「VP70M*4」というマイナーチェンジモデル(画像下)が登場している。
画像"vp70.jpg","vp70_2.jpg"はコピーレフト画像です。
外部リンク †
・H&K VP70 ムービー