シグ SG510 / SIG SG510 【自動小銃】 †
全長 | 重量 | 口径 | 装弾数 | 連射速度 | 発射形式 | 製造国 |
1,105mm | 5.9kg | 7.5mm×55 (GP11) | 24 | 450〜650発/分 | S/F | スイス |
1957年にスイス軍が「Stgw.57(Sturmgewehr 57;ドイツ語)」もしくは「Fusil d' Assaut 57(フランス語)」の名称で制式採用した自動小銃。G3やFALと同時期に登場した戦後第一世代の突撃銃である。後継のSG550が配備される1990年まで第1線で使用され退役したが、現在でも、550が行き渡っていない一部部隊で使用されている。また、510を装備していた当時に兵役を終了した家庭には、本銃が有事に備えて保管されている。
採用名こそStgw.(Sturmgewehr=突撃銃)とされているものの、キャリングハンドルやプレススチールのバレルジャケット、バイポッドなどを備え、歩兵用ライフルというより個人用軽機関銃に近い銃となっている。また、7.5mm GP11(7.5mm×55)というスイス独自の弾薬を採用している。この弾薬は7.62mm×51弾よりも強力なフルサイズの弾薬である。ストックは過半をネオプレーンゴムで覆われ、ライフルグレネード発射時のリコイルショックを抑制するものの、弾薬の強力さからフルオートでの立射には適さなかったようだ。*1。
機構はMG42を参考にしたローラー閉鎖式によるディレードブローバックで、プレス製ながら頑健なレシーバーを有し、シグ社製らしい精度の高い作りだった。
照準距離が100〜650mの間で調整可能な、精密射撃向けのアパーチャーサイトを備えたが、跳ね上がり抑制のため直銃床を採用したことから、従来の高さのサイトでは照準が困難なため、照準線の高いものとなっている。これに伴い折損のリスクを抑えるため、可倒式とされた。
他にもユニークな機能として、冬季戦用の補助トリガーがあげられる。これは通常時は前方に折り畳まれているが、引き起こすと従来のトリガーと平行に、その2倍ほどの長さとなってセットされる。これにより冬季戦用の防寒ミトンをつけたままでも射撃できるようにしている。さらに長いトリガーはテコの原理でトリガープルが軽くなるので、遠距離の精密射撃をする上でも重宝されたという。
オプションとして銃剣、ケルン社製4倍光学スコープ、ライフルグレネード用の空包を収めた小容量のマガジンが付属していた。
頑丈な作りで現場での評判はおおむね良好だったという。深さ30mもの渓谷から落としても、背の高いサイトが曲がっただけで、その他の機能にはまったく障害がなかったとか、銃身が赤熱化するまで射ち続けた後、水に浸けて冷やしたら、またすぐに射撃ができたというような、AK小銃に匹敵するような逸話もあった。また、こうした豪奢なつくりとスイスの高い人件費もあって、1挺あたりの平均価格が3,500ドルと、後継のSG550と同様、やはり当時でも最も高価な小銃の一つであった。
本銃は当初から輸出を想定しており、民間モデルとしてセミオートオンリーの「PE57」が生産された他、「SG510」のコマーシャルネームで各種輸出モデルが作られている。
まず、口径を7.62mm NATOに変更した「SG510-1」、バレルジャケット、バイポット、キャリングハンドルを省略して軽量化した「SG510-2」が作られた。他にフィンランド軍のトライアル向けに、口径をAK-47同様の7.62mm×39に変更し、短銃身化でよりコンパクトとなった「SG510-3」も試作された。SG510-3以降のモデルでは、ストックとフォアエンドが木製に変更されている。しかし、これらはいずれも採用には至らず、商業的にも失敗した。
その後開発された「SG510-4」は可倒式サイトを固定式とし、SG510-1、SG510-2同様の7.62mm NATO弾仕様としたモデルで、チリとボリビアにて軍に制式採用されている。SG510-4は生産能力の観点から、製造のほとんどがシグ社ではなくイタリアのベレッタ社で行われた。なお、このSG510-4をもとに、アメリカ市場を意識して競技向けに改修された、.308win仕様の「SIG AMT (American Match Target)」が作られている。
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