バレット M98B / Barrett M98B 【小銃(狙撃銃)】 †
アメリカのバレット社が、2008年に発表したボルトアクションスナイパーライフル。
バレット社の代表的.50口径ライフル「M82A1」は、速射性と反動抑制に優れたリコイルシステムを持っていたが、発砲時に銃身が後座する機構上、命中精度は今ひとつだった。そこで作られたのが、精密射撃を主眼としたM90をはじめとする.50口径のボルトアクション・ブルパップライフルのシリーズだったが、そもそも重機関銃用の弾薬として作られた.50BMG弾は遠距離での弾道が不安定であると言われていた。
そこで、.50BMGより有効射程こそ劣るものの、遠距離での精密射撃に特化した.338 ラプアマグナム弾を採用したのがM98Bである。
バレット社は1998年にM98という、同様に.338ラプア仕様のセミオートライフルを発表しているが、M98Bは名前こそ継いでいるものの設計的には全く異なるライフルである。セミオートのM98は製品化には至らず、同社の創設者ロニー・バレットの息子クリスが、新たな.338ラプア仕様ライフルのプロジェクトとしてその名を復活させたのが本銃である。
ボディは、アッパーとロワーに分割されるAR15系ライフルに似た設計のアルミ合金製レシーバーで構成される。ロワーと一体のストレートデザインのバットストックはスケルトン化され、銃身はフルートが施されるなど徹底的な軽量化が施されており、他社製のより軽量なシンセティックストックを用いた.338ラプアクラスのライフルと、ほとんど変わらない重量となっている。
ボルトの開閉角は60度で、素早いボルト操作が可能。アッパーレシーバーと一体化されたフリーフローティング仕様のハンドガード上部にはピカティニーレールを搭載。また、ハンドガードの左右及び真下に設けられたマウントポイントにより、レールを追加装着することもできる。バイポッドは各社製のものを選択・着脱ができ、バットストック後端部分のモノポッドと合わせて、3点支持での依託射撃が可能だ。
「MRAD(Multi-Role Adaptive Design)」は、US SOCOMの新型狙撃銃トライアル「SOCOM PSR」の要求仕様を満たすために、M98Bをベースに開発されたライフルである。M98Bの機構を踏襲しているが、口径・銃身交換システムとストックの折り畳み機構が追加された。銃身長は使用口径ごとに選択できるオプションが異なり、.308ウィンチェスター弾には17インチと22インチ。.300 ウィンチェスターマグナム弾では24インチ。.338ラプアマグナム弾には20インチと24インチ、及び26インチとなっている。
MRADは、US SOCOMの新型狙撃銃トライアル「SOCOM ASR」に提出され、Mark22として採用された。口径は、.308ウィンチェスター弾、.300ノルママグナム弾、.338ノルママグナム弾の3種類が用意される。
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