ランボー / First Blood

 原作はデイヴィッド・マレルの小説「一人だけの軍隊(邦訳タイトル)」。ベトナム後遺症や帰還兵問題の他、アメリカの地方都市の閉鎖性、世代間ギャップ(ベトナム帰還兵のランボーと、朝鮮戦争世代のティーズル)などを取り上げた、社会派の作品だった。
 映画化に当たって、ランボーやティーズルのキャラクター(原作ではランボーは平然と人を殺し続け、ティーズルはランボーを追いながらも、ある意味、苦しみ続けるランボーの最大の理解者となっていく)や、ラストに改編が加えられたものの、ベトナム帰還兵の孤独を描いたストーリーの大筋は変わらない。だが、2作目以降は当時の世相も反映してか、ランボーのヒーロー色が強調された、一大アクション作品に変貌した。(とはいえ、国に裏切られ、見捨てられ続けるランボーの孤独は、一貫して描かれている)
 主人公の活躍があまりに超人的で、各兵器・銃火器の考証も甘く、リアル志向の現在の目から見ると失笑もののシーンも少なくない。しかし、戦争映画というと第2次大戦か、陰惨なベトナムものしかなかった時代に、『ミリタリーアクション』の新風を巻き起こし、一時代を築いた作品であることは間違いない。

 映画版第2作から3作目までは旧共産圏軍が敵役となっているが、冷戦の最中の制作だけあって、共産圏の兵器は入手困難だったため、有名な『なんちゃってハインド』*1を含めて、西側兵器改造のプロップでしのいでいる場面が多々見られる。
 2008年に20年振りの新作となる『ランボー/最後の戦場』が公開されたが、冷戦終結後の世界情勢の変化を反映して、ランボーを取り巻く環境や、敵・味方の素性、装備なども、大きく変化することとなった。

 なお、第1作原題のFirst Bloodとは、ボクシング用語で「どちらが先に仕掛けたか」を意味する。『ランボー』は元々は日本独自の『邦題』だったが、2作目以降で本家にも逆輸入されたのは有名な話である。

小説(原作)

一人だけの軍隊*2 (原題 First Blood)

デイヴィッド・マレル著 邦訳:沢川進 早川書房
 
使用者銃種銃器名備考
ジョン・ジェームズ・ランボー回転式拳銃コルト パイソン警官から強奪
小銃ウィンチェスター M94?民間人から強奪
ウィルフレッド・ローガン・ティーズル自動拳銃FN ハイパワー

映画

ランボー (原題 First Blood)

1982年、アメリカ映画
監督:テッド・コッチェフ

 ベトナム帰還兵のジョン・ランボー(シルベスター・スタローン)は山間の田舎町ホリデーランドにやってきた。保安官ウィル・ティーズル(ブライアン・デネヒー)の車で食事が出来る場所に連れて行ってもらうランボー。しかしティーズルは余所者のランボーを町の入り口で車から降ろし追い出してしまう。なおも町に入ろうとするランボーをティーズルは逮捕。保安官事務所での屈辱的な扱いがベトナムでの記憶を呼び起こしランボーは保安官を振り切って脱走、山の中へ逃げ込んだ。元グリーンベレーでゲリラ戦のプロであるランボーに対しティーズルは州兵をも動員して山狩りを行うがそこにかつてのランボーの上官サム・トラウトマン(リチャード・クレンナ)が現れた。

使用者銃種銃器名備考
ジョン・J・ランボー軽機関銃サコー M60州兵のトラックから強奪
突撃銃コルト M16州兵から強奪
ウィルフレッド(ウィル)・ローガン・ティーズル突撃銃H&K HK33山中で使用
突撃銃コルト M16後半で使用
回転式拳銃S&W M666インチ
保安官突撃銃コルト M16
州兵突撃銃コルト M16
対物火器TDS M72洞窟への攻撃に使用

ランボー2/怒りの脱出 (原題 Rambo: First Blood Part II)

1985年、アメリカ映画
監督:ジョージ・P・コスマトス

 3年前の事件で服役中のランボーは軍の秘密作戦に参加することを条件に釈放される。内容はベトナムで今も拘束されているアメリカ軍捕虜の情報収集。現地の情報員コー・バオ(ジュリー・ニクソン)と協力して捕虜収容所を見つけるが、「捕虜がいる場合、写真のみ撮って帰還せよ」の命令を無視し救出を敢行。ヘリを呼び寄せるが捕虜も一緒にいるという報告を受けた途端、司令官マードック(チャールズ・ネイピア)は作戦中止を宣言。目と鼻の先にいるランボーと捕虜を見捨ててヘリに帰還するよう命じた。

使用者銃種銃器名備考
ジョン・J・ランボー短機関銃HK MP5A3HALO降下時の装備(発砲無し)
突撃銃USSR AKM敵から強奪
散弾銃レミントン M870オンボロ船で敵から奪う
フォールディングストック付き
軽機関銃サコー M60E3UH-1N(ソ連側)に搭載
重機関銃GE M134
対物火器RPG2オンボロ船にあったものを借用
TDS M72武装ヘリを攻撃
コー・バオ突撃銃USSR AKM
短機関銃MAC M11減音器装着
ヴィン大尉自動拳銃USSR トカレフ
ソ連軍事顧問団突撃銃USSR AKM
重機関銃USSR DShK武装ヘリ(なんちゃってハインド)に搭載
おそらく映画用プロップ
ベトナム兵突撃銃USSR AKM
エリクソン回転式拳銃コルト コマンド発砲なし
ライファー自動拳銃シグザウエル P226?ヘリ機内でトラウトマンに突きつける
発砲なし

ランボー3/怒りのアフガン (原題 Rambo III)

1988年、アメリカ映画
監督:ピーター・マクドナルド
 

 タイである時はボクサーとして、ある時は寺院の修復でその日暮らしをしていたランボーをトラウトマンが訪ねて来た。アフガニスタンへ武器を運ぶ作戦に参加してほしいといわれるがランボーは「俺の戦争は終わった」と言って断る。その後トラウトマンは現地に進駐するソ連軍に拘束された。その一報を聞きつけたランボーは現地のアフガニスタン人の協力を得てトラウトマンの救出作戦を決行する。

使用者銃種銃器名備考
ジョン・J・ランボー突撃銃USSR AK74M203装着
対物火器USSR RPG7基地脱出時に使用
自動小銃USSR ドラグノフ発砲シーンなし
ザイセン短機関銃RP Wz63?冒頭でトラウトマンに突きつけ脅迫
スライドオープン
発砲シーン無し
トラウトマン突撃銃RH AMD65救出後に携帯
ソ連軍から強奪?

ランボー/最後の戦場 (原題 Rambo)

2008年、アメリカ映画
監督:シルベスター・スタローン
 

 アメリカを離れ、タイの山村で隠居生活を送っていたランボー。ある日、彼の元にキリスト教支援団のメンバーがやってきて、地雷で埋まっている陸路を避け、川沿いのルートでカレン族の村へと続く道まで案内して欲しいという依頼を受ける。最初は断ったランボーだったが、メンバーの一人サラ(ジュリー・ベンツ)のカレン族を救いたいという真っ直ぐな気持ちに心を動かされ、支援団をボートで案内することに。
 海賊の襲撃に遭いながらも無事支援団を送り届けたランボーだったが、数日後、サラ達と同じ団体に所属するメンバーから、支援団がミャンマー軍に拉致されたらしいとの連絡が届く。支援団を救うため、ランボーは5人の傭兵と共に最も過酷な戦地へと赴く。

使用者銃種銃器名備考
ジョン・J・ランボー重機関銃ブローニング M3ラストでミャンマー軍のジープに搭載された物を奪う
マズルブレーキ装着
防楯付き
自動拳銃コルト M1911A1海賊襲撃時に使用
対物火器US M18後半で投棄されたトールボーイに設置
スクールボーイ対物火器バレット M82CQスコープ装着
AN/PVS22装着時もあり
夜間救出作戦ではサプレッサー装着
ウッドランド系迷彩塗装
US M18後半でランボーに手渡す
ルイス散弾銃モスバーグ M590EOTech製ホロサイト装着
マグプル製M93Aストック装着
トップレシーバーレール仕様
発砲無し
突撃銃ノリンコ 56式自動歩槍ラストでミャンマー軍から奪う
ディアス突撃銃DSA SA58 OSW?ダットサイト装着
発砲無し
ノリンコ 56式自動歩槍使用箇所は同上
リース突撃銃コルト M4A1M203装着
スコープ装着
砂漠塗装
発砲無し
ノリンコ 56式自動歩槍使用箇所は同上
エン・ジョー突撃銃シグ SG551発砲無し
ノリンコ 56式自動歩槍使用箇所は同上
USSR AKMS
ミャンマー軍突撃銃USSR AKM/AKMSAKMSとの混在
ノリンコ 56式自動歩槍AKMシリーズと混在
重機関銃ブローニング M3ジープ及び哨戒艇搭載型
マズルブレーキ装着
防楯付き(ジープ搭載型)
汎用機関銃FN MAG哨戒艇搭載型
パ・ティー・ティント将軍自動拳銃IMI ジェリコ941FB終盤で1発使用
ビエン(反乱軍の一員)突撃銃USSR AKMSタンカーモデル
ラストの銃撃戦で使用
対物火器FFV AT4ラストで哨戒艇の破壊に使用
ター(ビエンの仲間)突撃銃USSR AKM発砲無し
反乱軍突撃銃USSR AKMラストの銃撃戦で使用
コルト M16A1使用箇所は同上
海賊重機関銃ブローニング M2HB船に搭載
発砲無し
自動拳銃ワルサー P38発砲無し
USSR TT-33発砲無し

最新の10件を表示しています。 コメントページを参照

  • インド映画版「ランボー」制作開始か。ポスターではM134を手持ちで射撃 -- 2017-05-25 (木) 09:10:15
  • 2では水賊の一人がRPKを持っていた(発砲はなし)。 -- 2017-11-21 (火) 12:44:02
  • 3の没シーンでは、トラウトマン大佐が、ピックアップトラックに搭載されていた、DShK似のブローニングM2を撃ちまくっていた(パンフレットに発砲シーンの写真あり)。 -- 2018-05-24 (木) 00:08:03
  • 1作目で訂正があります
    ・保安官がカーチェイス時にランボーにS&W M10を発砲していました(4インチ)
    ・カーン州警察署が終盤、ランボーを逮捕する際にレミントン M870を所持していました(フォールディングストック、所持のみ)
    ・民間人がレミントン M700(スコープ装着)、水平二連式散弾銃を所持していました。
    (レミントン M700はランボーに奪われます) -- 2018-06-10 (日) 16:45:50
  • 1作目でランボーはレミントン M870を所持してません
    カーン州警察署が終盤、ランボーを逮捕する際にレミントン M870を所持してました
    (フォールディングストック、所持のみ) -- 2018-06-10 (日) 23:05:56
  • ランボー3 怒りのアフガンの使用者のとこでコウロフと書いてありますが実際の名前はクーロフです -- 2018-06-14 (木) 17:52:59
  • ランボー2 怒りの脱出でタイ中士やベトナム兵やキン船長などが使用していた自動拳銃はトカレフではなく、ツァスタバ M57というトカレフをモデルにした銃です -- 2018-06-19 (火) 07:34:47
  • 修正しておきました -- 2018-06-19 (火) 07:40:29
  • ありがとうございます -- 2018-06-19 (火) 07:45:45
  • AKS74Uですが項目に作品名がありませんでした、あと小説版のM94とラスト・ブラットのM1892はM1873のページにつながっていますがどちらも記載されていたのでランボーで統一してもいいと思います。 -- 2024-04-14 (日) 23:23:27
お名前:

*1 アエロスパシアル社製、シュペルピューマの改造機。
*2 映画公開時に「ランボー」に改題。

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