H&K M27 IAR 【自動小銃(分隊支援火器)】

M27 IAR
全長(伸長時)重量口径装弾数連射速度発射形式製造国
840(940)mm3.6kg5.56mm×4530700-900発/分S/Fアメリカ

 アメリカ海兵隊M249を補完する分隊支援火器として2010年に採用した自動小銃。 
 扱いやすさを重視した分隊支援火器をコンセプトとしたIAR(Infantry Automatic Rifle)計画下で開発された。

 仕様としてはH&KHK416の16.5インチバレルモデルをベースに、米軍仕様のバヨネットラグ*1を備え、KAC社製のフリップアップ式アイアンサイトや、バックアップミニリフレックスサイト付き3.5倍率ACOGフォアグリップバイポッド(ないしグリップポッド)を装着したものである。トリガーシステムはA4以降に搭載された2ステージトリガーではなくシングルステージトリガーが使われている。

 IAR計画は2005年に始まり、2006年から、FNSCAR分隊支援火器モデル)、H&K(HK416のバリアント)、コルトディフェンス、LWRC(M6A4)、ゼネラルダイナミクス(ウルティマックス100 MK.5)、パトリオットオードナンスの6社がトライアルに参加し、その結果FN、H&K、コルトディフェンスの3社に候補が絞られた。
 2009年、最終的にH&K社製モデルが選抜され、5ヶ月間の最終テストを受けた後、2010年の夏にこのHK416バリアントは「M27」の名称を与えられた。この名称はIAR計画でテストを行った海兵隊第7連隊第2大隊(2/7)に由来する*2

 M27 IARは、海兵隊における機関銃手(Automatic Rifleman)の大幅な機動力向上を意図した分隊支援火器であるため、M249に比べずっと軽量であり、精密射撃*3も可能となった。またAR15系ライフルであることから、既存のM4/M16に習熟した兵士であれば多くの追加訓練を必要とせず運用を習得可能であり、歩兵用ライフルと同様の外観であるため敵から優先的に狙われ難いといった利点がある。反面、機関銃クラスの制圧射撃能力を犠牲としたため、ベルトリンク給弾や銃身の即時交換などの機能は盛り込まれなかった。
 トライアル中には、IAR用の50/100発クラスの大容量マガジンの採用も検討されていたが、海兵隊の求める「より軽量な分隊支援火器」という要求仕様にあてはまらないとして廃案となっており、従来の30連タイプが標準とされた。大容量マガジンメーカーのARMATACではM27向けの150連マガジン「SAW-MAG」を開発しており、ARMATACによるテストでは150発の連続射撃でもM27には問題はないとされている。
 IARを携行する兵士は16〜21マガジン(480〜630発)の弾丸を携行可能となっており、銃自体が軽い分多くの弾薬を持ち運べるため、総火力では劣るものではないと考えられている。
 しかしベースとなったHK416同様、マグプル製PMAGでの給弾に難があるという問題があり、M27IARの採用からしばらくして海兵隊においてPMAGの使用が禁止されるという事態も発生した。この問題は次世代のPMAG GEN3マガジンでは解決されたため、禁止状態は2016年に解除された。
 また、2010年ごろより陸軍で導入された新弾薬「M855A1」との相性の悪さが指摘されている。M855A1は陸軍製ではあるものの、現場レベルで海兵隊にも融通され、後に正式調達が行われている。M27IARで使用すると給弾不良やボルト・銃身の寿命低下を引き起こすと報告がされている。給弾不良についてはPMAGの導入で解決を図っている。

 アメリカ海兵隊では当初から高い精度のためDMRとしての運用を検討しており、2017年には別途高倍率スコープとサプレッサーを装着した「M38 SDMR(Squad Designated Marksman Rifle)」として配備が開始された。
 また、接近戦向けにM4カービンより短い11インチHK416A5アッパーレシーバーをM27に装備した「M27 RWK(Reconnaissance Weapon Kit)」の使用も確認されている。

 2017年にはM4より高い命中精度・射程・制圧力を持ちながらM16A4より取り回しが良いことから、海兵隊は本銃を増勢、ないしは全面配備を考えていると報じられた。当初は1挺あたり$3000を超える単価から疑問視されていたが、フランス軍のHK416F制式採用など、416シリーズの世界的需要の増加により単価が低下しているため、近年ではより現実的なものとなって来ている。

登場作品ジャンル使用者備考
Breachゲームプレイヤーゲーム内名称「IAR」
Cマグ装着
ダットサイト装着
裏世界ピクニックアニメ米海兵隊ペイルホース大隊
コール オブ デューティ: ゴースト項目参照
コール オブ デューティ: ブラックオプスII項目参照
バトルフィールド 3項目参照
ブルーアーカイブ項目参照


このページの画像はH&K USAから転載しています。
転載に関しては、転載元の転載規約に従って行ってください。


最新の10件を表示しています。 コメントページを参照

  • 恐らくそうかと、なにせヘビーバレルじゃなかったらほぼHK416と同じ、と言っても良いくらいですし…。 -- 2018-04-28 (土) 19:30:51
  • USMCが本格的に実装するらしい。規制が撤廃されて安く購入できるようになったからだとか。 -- 2018-05-08 (火) 14:50:53
  • M38 SDMRはM27 IARに専用スコープとサプレッサーが付いてくるバージョンであって、銃本体自体はM27 IARとは特に変わらないのでしょうか。 -- 2018-05-22 (火) 13:01:52
  • Mk262に合わせてバレルが変わってるんじゃないか…っていう憶測も多少はあるようですが(一例: news.militaryblog.jp/a902490.html)、極端な変更はないと思います。
    そのサイトにもある通り、手続き云々の関係で名前が変わっているという可能性が高いと思います。 -- 2018-05-22 (火) 19:14:15
  • なるほどよく分かりました、コメント感謝します。 -- 2018-05-22 (火) 19:25:04
  • シュアファイア製60発マガジンは使わないんですか? -- 2018-06-10 (日) 01:11:02
  • ↑上の方のコメントで言及してるから見てこい -- 2018-06-10 (日) 03:34:29
  • 給弾不良起こしやすいのか 残念 -- 2018-06-16 (土) 03:28:36
  • 別にヘビーバレルではないからねこれ(というよりHK416自体がヘビーバレル) -- 2021-09-23 (木) 15:46:35
  • HK416って確かDD担当分だったと思うけどヘビーバレルじゃないのもあったはず -- 2024-03-06 (水) 21:50:03
お名前:

*1 もともとHK416はガスブロックにバヨネットラグを標準で備えているが、16.5インチバレルモデルは銃身長とガスブロック位置の関係上、米軍採用の標準銃剣を装着できない。
*2 H&K社公式カタログより抜粋。 https://ja.scribd.com/document/66412531/HK-M27-IAR
*3 海兵隊のテストではスコープとの併用により2MOAに到達するという。

トップ   新規 一覧 単語検索 最終更新   ヘルプ   最終更新のRSS