スオミ短機関銃 M1931 / Suomi KP/-31 【短機関銃】 †
モデル | 全長 | 重量 | 口径 | 装弾数 | 発射速度 | 発射形式 | 製造国 |
初期型 過渡期型 | 770mm | 4.6kg | 9mm×19 | 20/36/40/50/71 | 750〜900発/分 | S/F | フィンランド |
---|
後期型 | 875mm | 4.87kg |
---|
フィンランドの著名な銃器設計者アイモ・ラハティらによって開発された短機関銃。"スオミ(Suomi)"とはフィンランド語での母国名で*1、"KP"はkonepistooli(短機関銃)の略称である。試作品のM1922、生産型のKP/-26の後継として、1931年にフィンランド国防軍に採用された。製造は同国のティッカコスキ銃器工廠による。第二次世界大戦で使用された短機関銃の中でも傑作の一つとみなされている。冬戦争、継続戦争の両対ソ戦において歩兵火力を支えた、重要な火器の一つであった。
本体重量だけで4.6kg、71連ドラムマガジン装填時の重量は7.36kgと、同時代の短機関銃では重量級の部類だが、この重量が反動を抑制し、最大900発/分という非常に高い発射速度でも安定した射撃と高い精度をもたらしていた。
撃発はオープンボルト、作動はストレートブローバックと当時の一般的な構造で、トリガーはセミ/フルの切替式。トリガーガード前方を貫通するL字型のバーがセレクターで、マニュアルセイフティを兼ねていた。前方位置でフルオート、中央でセミ、後方位置で安全位置となり、前方への押し込み操作に限りグリップを離すことなく操作が可能だった。また、ボルトが前進位置にあるときはトリガーによってボルトが固定される仕組みで、落下などのショックでボルトが慣性で遊動して起きる暴発を防ぐことができた。
銃身はレシーバーに差し込まれているだけで直接固定されておらず、レシーバーのロッキングラグに咬み合わせて差し込むバレルジャケットが固定具を兼ねた設計で、作業には耐熱グローブを要したものの銃身交換は比較的容易であった。
コッキングハンドルはボルトと独立して、レシーバー後端にセットされた。のちのAR-15のチャージングハンドルに似た設計で、操作は利き手を選ばず、発砲時にボルトの動作と連動しないため発砲中にハンドルとの接触で手指を負傷するリスクも無かった。また、異物の侵入しやすいコッキングスロットは、ボルトを引くためのハンドル一体のロッドと共にレシーバー下部に配され、トリガー機構のハウジングによってカバーされていた。ただ、密閉性が高くなったことから、内部の空気がボルトの後退を阻害しないようレシーバー後端のエンドキャップに空気抜きのベントが設けられた。ちなみにこのキャップを回すことで空気流量を変え、発射速度を調節することも出来た。
いっぽう、多くの部品が削り出し加工で製造され高コストでもあったため、後にPPS-43のコピーであるKP/-44が作られている。
フィンランド国防軍におけるスオミ短機関銃の運用は軽機関銃に近く、当初はT-26軽戦車をはじめとするヴィッカース6t軽戦車系列の前方機銃として装備させた例もあった。しかし、継続戦争中には分隊支援火器的な運用に絞られてゆき、鹵獲品のDP軽機関銃と共に一分隊には必ず1、2挺が配備された。当初こそ20連の箱型ダブルカラムマガジンと40連のドラムマガジンが支給されたが、企図された軽機関銃的用途には容量と信頼性が不足していたことから、継続戦争中にはスウェーデン製の50連複々列マガジンと、40連型を改良した71連ドラムマガジンへ置き換えられていった。
なお戦後には、スウェーデンのカールグスタフ短機関銃の36連マガジンが使えるようマグウェルが改修されている。
本銃はスイス、デンマーク、スウェーデンでもライセンス生産された。KP/-31に悩まされたソ連軍は、継続戦争中、その71連発ドラムマガジンをそっくりコピーしてPPSh-41に採用している。
転載に関しては、転載元の転載規約に従って行ってください。