ステアー GB / Steyr GB 【自動拳銃】 †
全長 | 重量 | 口径 | 装弾数 | 製造国 |
216mm | 845g | 9mm×19
| 18+1 | オーストリア |
1970年代、オーストリア軍は老朽化したワルサー P38の代わりとなる自動拳銃の開発を、ステアー・ダイムラー・プッハ(現ステアー・マンリッヒャー)社に依頼。先行して販売されたロガック P-18の失敗を糧にして、1981年に完成したのがGB(Gas Bremse,英:Gas Brake)である。
スライド先端内部とバレル外面をガスチャンバーとして利用する、ガスディレイドブローバック方式を採用している。そのためポリゴナルバレルはフレームに固定されており、ショートリコイル方式に比べ精度が高い。それだけでなく、ガスディレイドブローバック方式では部品数を少なくできるため、信頼性も高い。他にも、トリガー周りにポリマー素材を使用するなど先進的な技術を導入している。ダブルカラムによる装弾数18発の大容量と、フレームが単純なプレス加工品で作られているため、大量生産に向いているのが売り。
しかし、1983年に行われたオーストリア軍の軍用ピストル選定ではグロック 17に敗れ、結局1988年には製造中止、商業的にみて成功作とはいえなかった*1。同じガスディレイドブローバック方式のH&K P7同様、やや癖のある動作方式ではあるが、弾薬さえ合えば高い命中率と反動の低さを発揮し使用者には好評であったという。
なお、ロガック(ローギャック) P-18というのはアメリカで生産されていた拳銃。当時アメリカでステアー社製品の輸入事業を手掛けていたレス・ロガック氏による先行クローン製品である。P-18の商業的大失敗により、何故彼がGBのリリース前に設計図を入手していたのかは全く不明となっている。GBの設計自体は1968年に既に完了しており、その後ステアー社が自社の拳銃生産ラインを構築するまでの間の「繋ぎ」としてアメリカでの生産・販売を許可されていたという説が有力である。
外見・機構はほぼGBと同一であるが、ロストワックス製法のステンレス製であった点が最大の相違点である。しかし品質はきわめて粗悪であり*2、あまりのひどさにステアー社が生産停止の要請をしたものの、その法的処置が及ぶよりも前にロガック社は破産。本家GB以上に商業的には失敗している。
アメリカでは米軍にM9拳銃が採用される1985年まで9mmパラベラム弾の拳銃は一般市民には全く馴染みがなく、マーケットの乏しさから資金集めは困難で、また経験のある職人もほとんど見つからなかったことなどが原因とされている。
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