ロストワックス製法 / Lost Wax †
別名『インベスティメント キャスト(精密鋳造)』とも呼ばれる、平たく言えば精度の高い『鋳物(いもの)』。
削り出し加工やプレス加工では真似できない滑らかな表面仕上げができる。また機械加工では難しい複雑な形状の成型や、複数部品の一体成形も可能。
製法の発達により、材質もアルミ合金やステンレス、耐熱鋼を始め、機械加工の難しいクロムやチタンなども扱えるようになっている。
基本的な手順は、まず金型を使ってワックスの原型を作り、砂やセラミックパウダーなどの断熱材で包む。
これを加熱すると中のワックスが溶け出して(脱蝋)、型が中空となる。ここでワックスが失われるので、一般に『ロストワックス』と呼ばれている。
後は、残った型を900度から1,200度の高温で焼き上げ、中に金属を流し込む(鋳込み)。収縮によるゆがみなどを補正すれば、部品の完成である。
銃器製造の世界でも、コストダウンと省力化を目的にそれまでの削り出し加工に代わって広く導入されるようになった。しかし、単に削り出し向けに設計された部品をそのまま置き換えるだけでは、さほどコストを削減することはできず、場合によってはかえって時間と金がかかる場合もある。
その点、うまく活用しているのがスタームルガー社で、同社は最初からロストワックス製法を前提に各部品を設計し、大幅なコストダウンと高品質の両立に成功している。
アメリカ本国でもしばしば誤解されがちではあるが、ロストワックス製法は「そこそこの品質のものをそこそこ安く作れる」手法ではない(むしろ高品質な表面仕上げにも用いられている手法である)点は留意しておくべきと言える。