QJY-88 / 88式通用機槍 【軽機関銃】 †
88式通用機槍(QJY-88)は国営356廠(雲南西儀廠)が開発した汎用機関銃である。 1980年代末、ミニミで代表されるように西側諸国で中口径軽機関銃を突撃銃用弾薬を使用する小口径軽機関銃で置き換えて歩兵用弾薬の種類を統合する流れの中、中国軍においても当時独自開発中であった5.8mm口径の新型突撃銃用小銃弾を使用する汎用機関銃を開発する事とした。 作動方式はロングストロークピストンのガス圧利用方式で、閉鎖方式はターンボルトロッキング。銃身と機関部はクロームメッキが施され、銃身寿命はおおよそ25,000発程度。一部部品にアルミ合金や強化プラスチックを使用することで軽量化を図っている。備え付けの二脚を用いれば軽機関銃として、三脚に据え付けて重機関銃として、仰角射撃用の三脚に固定すれば対空機銃として各々使用することができた。照準器は固定のアイアンサイトのほかに、スコープや赤外線スコープが装着できた。 こうして調達と配備の始まった本銃であるが、実際に配備と運用が始まってみると多くの問題が露出した。まずもって5.8mm×42弾は重弾を使用する事で7.62mm×54R弾に迫る威力や射程こそ発揮したものの、小口径ゆえに徹甲焼夷弾などの追加の加害効果を持った弾種を用意できず、複合的な対物威力に欠けていた。さらに汎用機関銃としての汎用性に着目しようにも、分隊支援火器としては大容量のドラムマガジンを備えつつ軽量な81式班用機槍やQBB95式班用機槍が扱い易さから好まれており、重機関銃としては12.7mm×108弾を使用しながらも銃本体が18kg程度と極めて軽量な85式高射機槍やQJZ89式重機槍があったため、威力も重量も中途半端な汎用機関銃というジャンルそのものが中国軍の装備体系においては不遇となっていたのだ。 このため多くの部隊では小口径機関銃という物珍しさから調達こそすれど、実際の部隊運用では武器庫に収められたままという事が多く、調達数も2020年頃までの累計で僅かに2万丁程度。日本の陸上自衛隊が人員約15万人に対してミニミを5000丁近く調達しているのに対し、その7倍近い約100万人規模の中国陸軍で僅か4倍程度でしかない調達数からして異様に少ない事が分かるだろう。 派生型としては車載同軸機銃仕様のQJT5.8mm並列機槍が開発採用され、各種の装甲戦闘車両に搭載されているが、以前より運用されていたPKTコピーの86式坦克機槍を完全に置き換えるには至っていない。 2020年に後継となる新型のQJY201型通用機槍が公開された。こちらは88式通用機槍やQJY201に前後して公開された新型小銃であるQBZ191型自動歩槍とは異なり西側諸国で標準的な7.62mm×51弾を採用し、CS/LR4やQBU203型狙撃歩槍といった狙撃銃と使用弾薬を共通化させている。
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