スミス&ウェッソン モデル3 / S&W Model 3 【回転式拳銃】 †

　モデル3は、S&W社が1870年に開発した、トップブレイク式*1シングルアクションリボルバーである。小口径だった自社製チップアップ式*2リボルバー「モデル1(.22口径)」、「モデル2(.32口径)」に替わり、S&W社が軍の制式採用を目指して開発したのが、大口径の.44口径仕様の「モデル3」だった。

　モデル3は、後に登場するサイドスイング式リボルバーであるハンドエジェクターのソリッドフレームと比べると堅牢さには劣るものの、ブレイクオープン操作で一度に6発全ての排莢が可能な上、以前のチップアップ式と比べ、シリンダーを外すことなく弾の装填が行えた。登場から2年後の1872年には、当時の帝政ロシアからの大量発注を得ている。この時、先方からのオーダーを受け、数度の設計変更を経て作られたのが.44ロシアン弾仕様の「ロシアンモデル」である。このモデルは、ロシア経由で日本にも渡り、明治期の日本海軍に「一番形拳銃」として採用されている。

　その後、S&W社はアメリカ陸軍の制式拳銃トライアル提出用のため、モデル3の改良に着手。1875年に、ジョージ・W・スコフィールド少佐のアイデアを取り入れて改良した、.45スコフィールド弾仕様のモデル3、通称「スコフィールド・リボルバー」を完成させる。
　スコフィールド・モデル3は、陸軍のトライアルを経て採用されたが、既に採用されていたコルト SAAと弾薬の互換性で問題があった。.45スコフィールド弾は.45コルト弾より短いため、SAAには双方の弾薬が装填可能だが、モデル3には.45スコフィールド弾しか装填できなかったのである。このため陸軍ではしばらく.45スコフィールド弾のみを調達していたが、最終的にモデル3は退役することとなり、多くが民間に払い下げられた。
　こうしてスコフィールド・リボルバーは民間で広く普及した。後の1881年10月26日、かのワイアット・アープがOK牧場の決闘の際に携行した銃としても有名となった。
　初期のモデル3は現在絶版だが、独特の魅力ゆえか後にS&W社ではなくアーミ・サン・マルコ社、ウベルティ社(アメリカ製銃器のレプリカを製造しているイタリアのメーカー)から再生産モデルが発売されるなど、今日まで愛され続けている。