ウィンチェスター M1907 / Winchester M1907【自動小銃】 †
モデル | 全長 | 銃身長 | 重量 | 口径 | 装弾数 | 連射速度 | 発射形式 | 製造国 |
M1907 | 1000mm | 510mm | 3.6kg | .351 Winchester Self Loading | 5/10/15/20 | − | S | アメリカ |
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M1907/17 | 1000mm | 510mm | 4.1kg | .351 Winchester Self Loading | 5/10/15/20 | 600〜700発/分 | F |
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M1907はアメリカのウィンチェスター・リピーティングアームズにおいて1907年に開発された自動小銃である。主設計者はトーマス・クロスレイ・ジョンソンで、同社製のM1903のパテントをもとに設計された。生産は1957年まで行われた。
使用する弾薬は、当初は専用弾として開発された.351WSL(ウィンチェスター・セルフローディング)弾。ラウンドノーズ弾頭で薬莢はストレートケース。現代の5.56mm×45弾に近いエネルギーを有した。
作動方式は高圧弾の.351WSL向けに設計されたウェイテッド・ブローバック。フォアアーム(先台)の先から前方に突き出した棒状の部品を押し込むことでボルトの操作を行う。マガジンは箱型脱着式となっている。
アイアンサイトは可倒式のアパーチャーサイトで、スライダーによってリアサイトの調整が可能となっていた。ストックはウォールナット(クルミ材)製である。また、仕様の違いで『プレーンフィニッシュ』、『ファンシーフィニッシュ』、『ポリスライフル』に分けられている*1
自動式ながら高い信頼性を有していたM1907は、あまり長距離での射撃には向かなかったものの、狩猟用ライフルとして鹿撃ちに最適と評価され、森の厚いブッシュにまぎれた標的をしとめるのに威力を発揮した。
M1907は軍用ライフルとしても第一次世界大戦から用いられた。ただし、主に航空機の武装として。フランスへ1915年から1917年の間に5500挺が輸出されたほか、1916年にイギリスへ120挺、ロシア帝国へ500挺が輸出され、アメリカ軍でも19挺が試験的に使用された。これらは搭乗員が持ち込んだ手持ち火器で攻撃を行っていた大戦初期の話で、機関銃が航空機銃として用いられるまでのことだった*2。1917年から1918年の間には、フランスからのオーダーで大型マガジンと着剣装置を追加し、トリガーをフルオートへと改修したM1907/17が作られ、2200挺が輸出されて地上戦で用いられた。M1907/17は実戦においてフランス軍に大いに評価され、リベイロールス1918という派生モデルの国産化に繋がった。また、後の1921年には.351WSL弾仕様のトンプソン短機関銃の試験も行っている*3。
1930年代には、犯罪の増加に対抗すべくアメリカの法執行機関が多くのM1907が採用したが、一方でテキサス州のガンスミスだったハイマン=S=リーマンが考案した接近戦用改造がギャングによって施され、使用されることもあった。
ウィンチェスター社ではこの銃に用いる.351WSL弾を、拳銃弾と(フルサイズ)ライフル弾の中間的な威力と反動を持つ中間弾(Intermediate cartridge)と呼称していたことから、M1907はいわゆる突撃銃の実践面での始祖とも考えられている。後に第二次世界大戦で大きな戦果を上げるM1カービンは、同社によって「中間弾を用いるライフル」という同様のコンセプトに基づいて設計されたものである。
同時に作られたものではないが、この銃の口径違いモデルとしてM1905(.32WSL、.35WSL*4)、M1910(.401WSL)が存在する。これらのモデルも諸外国で調達されたが、いずれもM1907程は成功せず1930年代には生産が終了している。.351WSL弾のエネルギーが現代の5.56x45mm弾に近いものである事を考えるとなかなか興味深い結果であると言えよう。