ホッチキス “タイプ・ユニバーサル” / Hotchkiss type Universal 【短機関銃】 †
全長(伸長時) | 重量 | 口径 | 装弾数 | 発射形式 | 連射速度 | 製造国 |
440/540/(776)mm | 3.43kg | 9mm×19 | 32 | S/F | 650発/分 | フランス |
タイプ・ユニバーサルは、フランスのホッチキス社が1949年に開発した、折り畳み式短機関銃である。
元々は警察向けのセミオートモデルとして設計されていたが、当時のフランス陸軍が新型短機関銃を欲していたことから、トライアル提出用として急遽フルオート機能が追加されたという経緯をもつ。
作動方式はシンプルブローバック、発火方式はクローズドボルト。セミ/フルの切り替えは、グリップ上部のクロスボルト式のボタンで行う。レシーバー右側にはボルトと連動しないコッキングハンドルがあり、ハンドルのスリット部にはダストカバーを備える。
最大の特徴は、各部品を折り畳むことでスーツケースサイズまで小型化できる点である。持ち運びや収納に便利なようにと設計されたもので、構造上、折り畳んでの発砲は考慮されておらず、同時代のMAT-49短機関銃と同様のコンセプトである。
折り畳む際は、まずマガジンハウジングをMAT-49同様前方に折り畳んで、さらにレシーバー側のラッチを操作し、バレルをレシーバー内に押し込むようになっている(そのため、トラニオンがロングサイズになっている)。フロントサイトとバレル下部にある突起は、バレルを押し込む時に使う指掛けである。次にスチール製のバットストックとピストルグリップを、両方ともレシーバー下部に折り畳む。この時、グリップはトリガー/トリガーガードを覆う形になるので、前方をコの字型に曲げた鉄板で構成されている。また、バットプレートもマガジンを間に挟む形になるので、同様の設計になっている(鉄板の内部は木製部品)。折り畳んだストックは、ストックチューブとマガジンハウジングそれぞれに付いた固定用フックで引っかける。
折り畳んだ時の全長は、ストックのみの折り畳みだと540mm、バレルも押し込んだ状態になると440mmまで小型になる。
空挺部隊や秘密作戦要員による運用を想定したコンパクト設計だが、部品点数が多く構造があまりに複雑であったため、製造コストが高かった。また、握り辛いグリップや貧弱なバットストックなど、操作面でも難点が多かったという。インドシナ戦争では少数が投入されたが、結局、軍での採用は見送られ、よりシンプルで安価なMAT-49がその座を勝ち取ることとなった。その後、同国の警察、及びベネズエラとモロッコが少数のユニバーサルを購入したにとどまり、製造は1952年に終了した。
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