モデル | 全長(伸縮時) | 重量 | 連射速度 | 口径 | 装弾数 | 発射形式 | 製造国 |
68式自動歩銃 | 880mm | 3.6kg | 640発/分 | 7.62mm×39 | 10/20/30+1 | S/F | 北朝鮮 |
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68-1式自動歩銃 | 不明 | 不明 |
朝鮮戦争休戦後の1950年代後半、北朝鮮は朝鮮人民軍の旧式化したモシンナガンや49式機関短銃などの第2次世界大戦以前の銃を更新するため、慈江道前川郡に65号工場を建設してソ連のAK47 III型のノックダウン生産を開始、1960年代には完全な国産化を実現する。中国の命名方式を模倣して58式自動歩銃と名付けられたその小銃は、東南アジアや中東、中南米へ輸出もされ、ベトナム戦争においてはベトナム人民軍や南ベトナム解放民族戦線によって使用された*1。
それから10年後に、58式自動歩銃の後継として北朝鮮がソ連のAKMをコピーした小銃が68式自動歩銃である。58式自動歩銃とAK47には刻印以外の差異が特に見られなかったのに対して、68式自動歩銃とAKMには細部に様々な相違点がある。
レシーバーはAKMと同じようにプレス加工に改められ、軽量化と生産効率の向上がなされているが、発射速度を安定させるためのレートリデューサーは装備されなかった。そのためロシア製AKMの連射速度が600発/分なのに対して、68式自動歩銃は640発/分となっている*2。セレクターの形状、木製のグリップ、スリングスイベルの位置、膨らみの無いハンドガード、リアサイトの距離表示が800mまでしかないなどの点も58式自動歩銃から変わっておらず、他国製のAKMと比べるとAK47の要素を色濃く残しているといえる。ロシア製AKMのハンドガード、グリップ(初期生産型やAKMSの場合)、ストック?は合板によって作られているが、68式自動歩銃は単材によって作られている。他にもAKMの特徴である、銃口の跳ね上がりを抑えるコンペンセイターの役割を果たす竹槍型のマズルや、レシーバーカバーの補強リブが68式自動歩銃には無いなどといわれることがあるが、実際にはそれらの点はある物と無い物がどちらも確認できる。またスリングスイベルの位置も他国製AKMと同じ位置に存在する物が一定数見られるので、ある程度の個体差があるようだ。
マガジンも58式自動歩銃と変わらない金属製の物を使用するが、一般的な30連マガジン以外にハンガリーのAMD65や中国北方工業公司(ノリンコ)の56-C式自動歩槍用のような20連ショートマガジンもよく見ることができる。
どのような仕組みで発射するのかは不明ながらライフルグレネードも使用できるようで、そのための空包用と思われる10連ショートマガジンも用意されている模様。
ちなみに北朝鮮製の7.62mm×39口径30連マガジンは、AK47 III型用と同じ形状で背面リブに星マークが付いている物が主に確認されている。他にも過去に韓国で発生した武装共匪(共産ゲリラ)浸透事件においては、AK47 II型、あるいは56式自動歩槍用の、背面にリブが無く側面下部のリブの数が2本しかないマガジンも回収されており、北朝鮮では複数のタイプのマガジンが製造されていた(いる?)可能性もある。
AKMSに相当する、折り畳み式ストックを備えた68-1式自動歩銃も存在する。ストックの形状はこれもAKMSというよりAKS47の物に似ており、直銃床ではなく曲銃床となっている。そして特徴的なのは、上の画像を見れば分かる通り、軽量化と材料削減のためと思われる大小10個もの穴が開いていることである。
68/68-1式自動歩銃も58式自動歩銃と同じように、中東のイラン、イラクや中南米のキューバ、ニカラグア、エルサルバドル、ペルー、その他アフリカの諸国へ輸出されている*3。それまで重い削り出しレシーバーで曲銃床のAK47や56式自動歩槍しかなかったような場所では歓迎され、評判も上々だったとか。イラン・イスラム共和国軍などの正規軍に限らず、エルサルバドルではファラブンド・マルティ民族解放戦線(FMLN)というゲリラ組織*4、レバノンではヒズボラ、ペルーでは国家警察が使用している*5。どのような経緯によるものか不明ながら、マルタ軍が使用していることも確認されている。
日本においては北朝鮮に対するイメージからか、58/68式自動歩銃はかなり粗悪で市場価格も安価といわれることが多い。しかしロイター通信社の2009年6月の報道によると、ソマリアではロシア製純正のAKが400ドルで取引されているのに対し、北朝鮮製のAKはさらに高品質で、600ドルという高値で取引されているらしく、北朝鮮製だからといって一概に評価を決めつけることはできないようだ。
本国の朝鮮人民軍では、1980年代後半に北朝鮮版AK74である88式自動歩銃が開発されると前線部隊から徐々に置き換えられ、現在でも使用しているのは教導師団などの後方部隊のみの模様。正規軍以外では人民保安部(警察)、民兵組織である労農赤衛隊や赤い青年近衛隊にて58式自動歩銃と共に使用されている。
セレクターの連射/単射の表記は、本国の朝鮮人民軍その他に配備されている物に関してはチョソングル(ハングル)となっている。58式自動歩銃においては「련(連/リョン)*6」/「단(単/タン)」と「려ㄴ」/「다ㄴ」の2種類の表記が存在したが*7、68式自動歩銃では朝鮮語の表記法的に正しい「련」/「단」に統一されたものと思われる。
ある画像にて、ペルー国家警察が使用している68-1式自動歩銃のセレクターの連射の位置に「∞(無限大マーク)」が書かれていることが確認できる。その画像では折り畳まれたストックによって単射の表記がどのようになっているかは把握できないが、ハンガリー製AKシリーズと同じ表記であるとするならば、中南米向け輸出用68式自動歩銃のセレクター表記は「∞/1」と推測できる。
リアサイトの戦闘距離表記(ロシア製AKだと「П」と書かれている部分)は、本国に配備されている物はチョソングルの「고」となっており、朝鮮語の「고사(高射/コサ)」の頭文字と予想される。
輸出用68式自動歩銃のリアサイトの戦闘距離表記には、まずアラビア文字の「ت(ター)」に似たようなものがある*8。これはエジプト製AKのリアサイトの戦闘距離表記と同じ文字であり、アラビア語のどのような言葉から来ているのかは不明だが、中東の輸出相手国に合わせたのだろう。中東以外の地域への輸出用には、戦闘距離300mをそのまま表した「3」という表記が使われている。
登場作品 | ジャンル | 使用者 | 備考 |
TRIDENTS トライデンツ | 漫画 | 画報会組員 | − |
コンビニDMZ | − | − | 項目参照 |
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