USSR KPV / СССР КПВ【重機関銃】

nolink,MTPU
モデル重量(銃本体)全長口径装弾数発射速度製造国
KPV49.0kg1980mm14.5mm×114ベルトリンク給弾550〜600発/分ソビエト連邦
KPVT52.2kg

 ソビエト連邦のセミョーン・V・ヴラジーミロフにより開発された重機関銃*1。 
 KPVで使用される14.5mm×114弾は、独ソ戦最中に活躍したPTRD1941PTRS1941という対戦車ライフルで使われていた弾薬である。ブローニングM2の12.7mm×99弾やDShKなどの12.7mm×108弾といった一般的な重機関銃弾に比べ、ほぼ倍の威力を持つ。これを使用する対戦車および対航空機用の重機関銃として1942年から開発が始まり、1944年にKPV-44という試作モデルが完成。更に試験を重ねて1949年に完成し配備が始まった。
 開発が始まった時点で14.5mm×114弾は対戦車用としては陳腐化が懸念されたが、交戦相手であるドイツ軍が旧式戦車をベースとした自走砲を数多く運用していた事に加え、防楯を有する野砲や野戦築城などといった陸上目標に加えて、航空機としては頑強な装甲を持つ対地攻撃機などにも有効であるとして開発された。

 完成し配備が始まった頃には対戦車用としては威力不足となり、約50kgという大重量ゆえ歩兵が運用するには困難が伴う扱い辛い火器となった。しかし一方で、派生型として作られた車載用のKPVTと、対空用のZPUなどは高い評価を得る事となった。
 というのも、大重量は車両へ搭載するか牽引すれば問題なく、対戦車用としては威力不足でも、比較的軽装甲な偵察車両や兵員輸送車両に対しては有効だったためだ。対空用としても、ジェットエンジンの実用化による航空機の高速化で、対空機銃というカテゴリーそのものが一時的に斜陽となったが、朝鮮戦争の頃からヘリコプターという低速かつ低空を飛ぶ航空機が戦場に登場した事で復権し、各種の対空仕様が広く運用されている。
 対空仕様のモデルは、車両による牽引が基本だが、牽引状態から射撃姿勢に移るまでの時間や労力を省くため、射撃姿勢のままピックアップトラックなどの荷台や装甲車両の屋根に載せてのテクニカルとして運用される例が多い。各種の対空兵器と同様、地上目標へ対して使用される事も少なくない。
 海軍の魚雷艇や国境軍の警備艇などにも対空および対舟艇用の搭載火器として運用されている。

 後に30mm×165弾を使用する2A42や23mm×152弾を使用するZU-23といった、より大口径の機関砲が国内で開発されてからも、それらと12.7mm×108弾を使用するNSVKordといった重機関銃の隙間を埋める火器として運用が継続されており、新型装甲車両の搭載火器として採用される事もある。

 国外では、対空用の単装モデルであるZGU-1が北ベトナムへ供与され、ベトナム戦争で運用されたのを始めとして、銃のみならず本銃を搭載する装甲戦闘車両や艦艇が東側諸国や第三世界の各国へ広く輸出されたため、現代に至るまで数多くの戦場で正規軍や反政府武装勢力などの組織を問わずその姿が見られる。2022年に勃発したロシアによるウクライナ侵攻においてもロシアとウクライナの双方が運用している。類似する口径や威力の火器であるMG151やZB-60、QJG-02が国外での運用がごく限られたのに比べ、KPVシリーズはこのクラスとしては珍しく世界に広く普及した銃となっている。
 また日本においては2001年に東シナ海で発生した北朝鮮による九州南西海域工作船事件において工作船がZU-2で武装しており、海上保安庁の横浜海上防災基地に併設されている海上保安資料館横浜館*2において工作船と共に展示されている。

各種バリエーション

モデル用途特徴重量
KPV歩兵用2つの車輪と開脚砲架を備えたモデル
3脚銃架を備えたモデル
154kg
88kg
KPVT車載用軽装甲車両の主砲などに用いられているモデル52.2kg
ZPU-1対空用単装モデル413kg
ZGU-1対空用単装モデル220kg
ZPU-2対空用水平2連装モデル994kg*3
ZU-2対空用ZPU-2を空挺部隊向けに軽量化したモデル649kg*4
ZPU-4対空用4連装モデル1810kg
2M-5艦艇用水平2連装銃座モデル550kg
2M-6艦艇用水平2連装銃塔モデル
2M-7艦艇用垂直2連装防楯付銃座モデル600kg
MTPU艦艇用単装銃架モデル、上掲画像のモデル350kg
 
登場作品ジャンル使用者備考
13時間 ベンガジの秘密の兵士項目参照
MAG項目参照
アームド・アサルト項目参照
エクスペンダブルズ項目参照
キャット・シット・ワン項目参照
グレイマン項目参照
コール オブ デューティ4: モダン・ウォーフェア項目参照
コール オブ デューティ: ゴースト項目参照
コール オブ デューティ: ブラックオプス項目参照
コール オブ デューティ: ブラックオプスII項目参照
コール オブ デューティ: モダン・ウォーフェア2項目参照
ジオブリーダーズ項目参照

このページの画像は製造元であるV・A・デグチャレフ記念工場の製品紹介ページから転載しています。
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最新の10件を表示しています。 コメントページを参照

  • MGDBの中でも作品ページではそこそこ記載があったのに個別銃ページが無かった謎のKPVのページを作成 -- 2023-07-24 (月) 21:47:36
  • 作成お疲れ様です、あとエクスペンダブルズは第何作で登場していましたっけ? -- 2023-07-25 (火) 06:44:38
  • エクスペンダブルズは観た事無いんで分からないんですけど、コメ欄見ると登場作がいくつかあるみたいなんですよね。 -- KPV作成者? 2023-07-25 (火) 13:10:51
  • 「地上目標へ対して使用される事も少なくない。」の前部分を「各国の対空機関砲と同様」に編集してる方、地上目標に対して使用される対空兵器が対空機関砲に限らず、有名な例でも独88mm高射砲や米ナイキ・ハーキュリーズ地対空ミサイルなどがある事を理解した上での編集でしょうか?また2A42とZU-23に関する分の頭から「後に開発国である」を削除したい理由をお聞かせください。コメントも無く意図が不明な編集を繰り返されており大変不愉快です。 -- KPV作成者? 2023-07-27 (木) 03:05:46
  • 北朝鮮工作船の所に記載してた型式名を誤ってZU-2になってなので修正。 -- KPV作成者? 2023-08-02 (水) 21:43:26
  • M2のようにセミオートへの切り替え機構はないっていう理解でいいでしょうか? -- 2023-09-16 (土) 21:25:02
  • (基本の)歩兵運用モデルでは通常何発で銃身交換をするのでしょうか? -- 2024-02-07 (水) 20:14:42
お名前:

*1 ソ連およびロシアではGOST規格により口径が20mm以下の火器を銃として扱うため、本ページではこれに倣い重機関銃として扱う。その他の国や組織によっては機関砲に分類される場合がある。
*2 通称、工作船展示館
*3 射撃姿勢での重量は639kg
*4 射撃姿勢での重量は621kg

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