フルオートタイプの銃器などで用いられる、給弾機構を内蔵した多弾数の円筒型弾倉の総称。
給弾機構のバネには、弾薬を込めながらゼンマイを手動で巻いて使用するもの、弾薬を込めた後にゼンマイを手動で巻いて使用するもの、Beta社のCマグ(画像参照)のように弾薬を込めれば自動でゼンマイも巻き上げられるタイプがある。
ただし、動力内蔵型は構造が複雑なため、故障や給弾不良を起こしやすい上、大量生産に向かないという欠点もあり、Cマグを除けば現在ではあまり使われていない。
また、形状そのものも、箱型マガジンと比べれば大量の弾丸をスムーズに送り込むのに適してはいるものの、大きくかさばって運搬や保持に支障があるため、軽便さが売りの拳銃や短機関銃などにはほとんど用いられなくなった。
軍用としてもその重量や容積によって携行可能な弾薬数そのものが減っては本末転倒であること、そもそもそれほど大量の弾薬を安定して射撃可能なマガジン給弾式火器がほとんどないことから、現代の軍隊における採用例は中国のQBB-95など少数に留まっている。しかし特殊部隊ではしばしばドラムマガジンを使用するライフルが実際に使用されていることが確認されている。
代表的なものはフィンランドのスオミ M1931、アメリカのトンプソン M1921,M1928、ソ連のPPSh41、ドイツのルガー P08、ベルグマン MP18(スネイルマガジン)など。
近年の製品では、シンガポールのウルティマックス100が、60連と100連のドラムマガジンを採用している。最近の潮流からは逆行しているが、このマガジンは「使い捨て」前提として軽量化されているのが特徴で、ウルティマックス自体の軽量化にも一役買っている。
なお一部の軽機関銃で採用された円盤型のものは、パン(平鍋)マガジンと呼ばれるもので、これには給弾に用いる駆動力を銃側から受けるものと、内臓するゼンマイ等で駆動するものの二種類がある。前者の例はアメリカのルイス機関銃で、銃のボルトの前後動に伴いカム機構とラチェットによって容器が回転しつつ、内部のスロープによって弾薬を機関部に送るようになっている。後者の例はソ連のDP機関銃などで、マガジン中央部に内蔵したゼンマイにより上蓋が回転し、上蓋の内側に並ぶ爪が弾を送り出すようになっている。
発展形として、PP19ビゾンやPP90M1、キャリコシリーズなどが採用している、ヘリカル(らせん状)に弾薬を装填するヘリカルマガジンが存在する。ドラムマガジンと比べて、マガジン内の弾薬以外のパーツが占める空間が少なく体積あたりの容量が大きいほか、細長く比較的かさばらないため、銃の保持や携行が容易な点で優れている。しかし、マガジンのサイズそのものは、20連30連の従来のボックスマガジンに比べれば大きいため、大量に携行するには向かない点はドラムマガジンと同様である。また、ヘリカルマガジンのバネは手巻き式になっており、使用前にバネを巻く必要がある。
なお、ドイツのMG34やMG42/MG3などに付属しているのは、しばしば混同されるがドラム状の弾薬ベルトコンテナである。一方、MG34で使用される75連サドルドラムマガジンは給弾機構を内蔵する「マガジン」である。
最新の10件を表示しています。 コメントページを参照