サタデーナイトスペシャル / Saturday Night Special (SNS) †
いわゆる安物の拳銃の事。ジャンクガン(junk gun)とも呼ばれる。
1960年代から使われるようになった言葉だがその語源には諸説あり、アメリカで、チンピラやギャングが土曜日の夜に小競り合いや恐喝などを行う際にこうした手持ちの安物の銃をよく使った事から、犯罪などで押収されるこの手の拳銃のことをこう呼ぶようになったという説が有名である。その多くが小型であり、アメリカの一部の州では所持が禁止されているところもある。
大抵は中小・零細のメーカーが製造しており、値段はおおよそ100ドル以下。ライフリングが浅い、壊れやすいなど低品質ではあるものの法律上の基準を通過するため、低威力の.22LRや.25ACPなどのエネルギーの低い弾薬を用いるモデルが多い。
法律で所持が認められているために銃(とその脅威)が身近に存在するアメリカでは多くの人々が自衛の必要性を感じているが、一方で自衛のためにそれほど多くの金額は使えない、あるいは使いたくない層も当然存在するため、このような低品質だとしても、低価格な銃火器を購入する層が存在する。
この種の銃が関わった最も大きな事件は、1981年3月30日の『レーガン大統領暗殺未遂事件』である。犯人のジョン・ヒンクリーJr.はローム RG14リボルバーに.22LRの炸裂弾を装填して、会議場から車に戻る当時のロナルド・レーガン大統領を銃撃。大統領の他、ジェームズ・ブレイディ報道官を含む数名が被弾・負傷する大事件となった。
こうした事件もありいわゆる「サタデーナイトスペシャル」と呼ばれる銃種に対する規制の提案や裁判も何度か行われたものの、いずれも犯罪件数全体に対してこうした安価な銃が使われるケースは非常に少なく、そうした規制や処罰には大した効力はないとして却下されている。
サタデーナイトスペシャルと呼ばれた製品の例 †
外見 | モデル名 | 説明 |
| ジェニングス J-22 | (項目参照) |
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| チャーターアームズ ブルドッグ | (項目参照) |
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| プレシジョン・スモールアームズ PSA-25 | ブローニングベビーのコピー銃。ブローニングベビー自体はサタデーナイトスペシャルではないが、既にパテントが切れているため、数社で安価なコピー銃が製造されている。 品質はメーカーによって様々だが、オリジナルにはないステンレスモデルをリリースするなど、独自色を発揮するメーカーもある。 |
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| レイヴンアームズ P-25/MP-25 | (項目参照) |
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| ローム RG14 | ドイツのローム(Röhm)社によって製造された口径.22LRのダブルアクションリボルバー。RGはRöhm Gesellschaft(ローム社)の略。コストダウンのために全体が亜鉛ダイキャストを用いて造られている*1。 姉妹モデルとして.22ショート・ロング口径のRG10やRG12等があり、いずれも低価格で販売されていた。 |
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