ハンマーが起きてなくても、引き金を引く力でハンマーが連動して起きる(コックされる)機構のこと。一回のトリガー動作でハンマーがコッキングと発火(ファイアリング)、二つのアクションを行うところからこう呼ばれる。DAとも略される。
薬室に弾が装填されていれば、ハンマーコックなどの余計な動作の必要なくサイトで狙ったまま連射できるため、リボルバーにおいてはシングルアクション式の銃より使い勝手が良い。しかし、トリガーにハンマーを起こす力がかかる分、シングルアクションよりも引き金を引く距離(トリガーストローク)が長く、かつトリガープルが重い。その分、不用意に引いて暴発させてしまうリスクは低くなるものの、ガク引きを起こしやすくなる。
リボルバーでは、ライトニングでコルト社がダブルアクション・リボルバーの先鞭をつけたが、その後はS&W社が、スムースなトリガープルで評価高いダブルアクションを実現。コルト製リボルバー凋落の一因となった。
自動拳銃でもワルサー P38を皮切りにダブルアクションが普及していき、現在ではダブルアクションが自動拳銃の標準仕様となっている。ただしリボルバーの場合とは意味が少し違い、初弾ではダブルアクションだが、次弾からは自動的にハンマーがコックされてシングルアクションでの動作となる。
大抵の場合ダブルアクション式ならばシングルアクションでの発砲も可能であるが、一部の拳銃ではシングルアクションからの発砲を廃し、ダブルアクションのみからの発砲のみとしたものがある。この形式をシングルアクション・ダブルアクション兼用と区別するためダブルアクションオンリー(DAO)と呼ぶ。引っ掛かりを減らすためにハンマーレスにした際に採用されたり(S&W M40)や後述のような暴発対策で採用される。
ダブルアクションを備えた自動拳銃が広まっていった頃、ダブルアクション・リボルバーの重いトリガープルに慣れていた人々の間では暴発事故が少なからず発生した。この事態を重く見たアメリカでは、ダブルアクションオンリーの製品が登場し、初心者や公的機関の間で広まっている。
更に近年では、スライド操作のさいストライカーを70%ほどコッキングしておくことでトリガープルを軽くした変則DAOのグロックシリーズが台頭し、以降の自動拳銃の設計に大きな影響を与えた。ワルサー P99QA、S&W M&Pなど他社の自動拳銃に、同様のトリガーアクションを採り入れた派生型が登場する契機ともなった。
プリコック式とも呼ばれるこの機構は、シングルアクション並みのトリガープルと、ハンマー操作が不要かつ従来型DAOと同じく常に同じトリガープルというシンプルな操作系が特徴である。また万一、落下による故障などで、最悪、ストライカーが弾の雷管を叩いてしまった場合でも、フルコックされていないストライカーでは打撃力不足となるため、暴発のリスクを抑えることができる。しかし、コックorデコックの線引きがないため、露出ハンマーのように銃の状態を見た目で判別することができず、また、射手の不用意なトリガー操作に対しては無防備に近いという問題もある。
ちなみに、もともとダブルアクションといえばシングルアクションと併用可能なものが普通だったが、ハンマーがコック位置で停止しないDAOの機構が普及したため、区別する意味でそれまでのダブルアクションを「コンベンショナル・ダブルアクション(Conventional double action)」と呼ぶ場合もある*1(表記上は「DA/SA」などとされるのが普通のようだ)。
最新の10件を表示しています。 コメントページを参照