ホイールロック / Wheel-lock †
1505年頃ドイツ・ニュルンベルクで考案され、1540年代に普及し始めた前装銃の点火方式の一つ。日本では『鋼輪』式や『歯輪』式、あるいは『輪燧』式とも呼ばれる。
火打石式ライターの原理を応用し左向きのコック(Cook)*1と呼ばれる部分に挟まれた黄鉄鉱を、専用のギア・スパナーで巻き上げた板バネで回転させた歯車に叩きつけ、火花を起こして火皿の発射薬に点火する。
火縄銃に比べ、火縄のような点火用の火種が不要になったことで強風や雨などの悪天候に強くなり馬上で扱い易くなり、また銃を服の中などに入れることが可能になったことから拳銃が大きく発展することになった。しかし、構造上使用する黒色火薬が空気に晒されやすくなり、その分湿気や埃に弱く、また点火方式のせいで命中率も火縄銃よりやや劣っていた。
構造が複雑で高価な為に大量生産には向かなかったため、ドイツのライテル(Reiter)*2や貴族など、ある程度裕福な階層で主に使用され、エングレーブなどが施された豪華なホイールロック銃が多く作られた。また、斧やメイス、サーベル、ウォー・ハンマーやハルバードといった近接用の武器と組み合わせた物も作られている。
一方、隠し持つことが容易になって暗殺にも多用されたことや、従来の銃と構造が異なることから暴発が多発した為に、所持を禁止された地域もあった。