フルオートタイプの銃器などで用いられる、給弾機構を内蔵した多弾数の円筒型弾倉の総称。
ドイツのMG34やMG42の50連「ドラムマガジン」は、しばしば混同されるが、実際は弾薬ベルトを格納するだけのコンテナであり厳密にはマガジンとは異なる。これは小火器の体系的な分類上、マガジン給弾とベルト給弾の区別は、弾倉側に給弾機構があるか銃本体に機構を持っているかの区別であるためだ。ただし、MG34で使用される75連サドルドラムマガジンは給弾機構を内臓する「マガジン」である。
給弾機構のバネには、使用前にゼンマイを手動で巻いて使用するものと、Beta社のCマグ(画像参照)のように弾薬を込めれば自動でゼンマイも巻き上げられるタイプがある。
ただし、動力内蔵型は構造が複雑なため、故障や給弾不良を起こしやすい上、大量生産に向かないという欠点もあり、Cマグを除けば現在ではあまり使われていない。
また、形状そのものも、箱型マガジンと比べれば大量の弾丸をスムーズに送り込むのに適してはいるものの、大きくかさばって運搬や保持に支障があるため、軽便さが売りの拳銃や短機関銃などにはほとんど用いられなくなった。
軍用としてもその重量や容積によって携行可能な弾薬数そのものが減っては本末転倒であること、そもそもそれほど大量の弾薬を安定して射撃可能なマガジン給弾式火器がほとんどないことから、現代の軍隊における採用例は少ない。しかし特殊部隊ではしばしばドラムマガジンを使用するライフルが実際に使用されていることが確認されている。
代表的なものはフィンランドのスオミ M1931、アメリカのトンプソン M1921,M1928、ソ連のPPSh41、ドイツのルガー P08、ベルグマン MP18(スネイルマガジン)など。
近年の製品では、シンガポールのウルティマックス100が、60連と100連のドラムマガジンを採用している。最近の潮流からは逆行しているが、このマガジンは「使い捨て」前提として軽量化されているのが特徴で、ウルティマックス自体の軽量化にも一役買っている。
発展形として、PP19ビゾンやPP90M1、キャリコシリーズなどが採用している、らせん状に弾薬を装填するヘリカルマガジンが存在する。ドラムマガジンと比べて、マガジン内の弾薬以外のパーツが占める空間が少なく体積あたりの容量が大きいほか、細長く比較的かさばらないため、銃の保持や携行が容易な点で優れている。しかし、マガジンのサイズそのものは、20連30連の従来のボックスマガジンに比べれば大きいため、大量に携行するには向かない点はドラムマガジンと同様である。また、ヘリカルマガジンのバネは手巻き式になっており、ボックスマガジンやドラムマガジンと比べて使用前に長時間バネを巻く必要がある点も問題である。
なお一部の軽機関銃で採用された、平べったい円盤型のものはパン(平鍋)マガジンと呼ばれるもので、これには給弾に用いる駆動力を銃側から受けるものと、ゼンマイ等で内蔵するものの二種類がある。前者の例はアメリカのルイス機関銃で、銃のボルトの前後動に伴いマガジン全体が内部に並べられた弾ごと回転して給弾するようになっており、後者の例はソ連のDP機関銃などで、マガジン中央部に内蔵したゼンマイにより上蓋が回転し、上蓋の内側に並ぶ爪が弾を送り出すようになっている。
最新の10件を表示しています。 コメントページを参照