全長 | 重量 | 口径 | 装弾数 | 製造国 |
205mm | 1025g | .22LR 9mmx19 .45ACP | 10+1 8+1 7+1 | ポーランド |
ポーランド軍が1935年に制式採用した、ガバメントコピーの自動拳銃。
1930年代。ヒットラーのドイツ進軍による緊迫した世界情勢の中、ポーランド軍は早々に次期制式拳銃を選定する必要があった。ポーランドのPWU(国家造兵廠)の技術者ピオトール・ビィルニエブツィックとヤン・スコルツィピンスキーは、当時最も完成度が高いM1911を基にして、ヨーロッパでは一般的な9mm×19弾仕様のwz1930を開発する。これが軍のトライアルに提出され、安全性を考慮した結果、シングルアクションでは珍しいデコッキングレバーが装備されることとなった。また、オリジナル1911ではサムセイフティに位置するレバーは、テイクダウンのさいに使用するスライドロックレバーに改められた。
こうして完成したVIS-wz1935は、1936年からラドム造兵廠で製造が開始された。しかし時既に遅く、1939年にポーランドはドイツ軍に侵攻され、接収されたラドム造兵廠は皮肉にもドイツ軍準制式拳銃P35(p)として製造させられる。製造は終戦と共に終わり、ポーランドは社会主義国家への道を歩む。
その後、社会主義体制の崩壊と共にラドム造兵廠は民間企業Z.M.Lucznikとなり、1992年にはwz1935を民間向けとして少数限定ながら生産したが、資本主義経済の中でZ.M.Lucznikは倒産。その後再建されたものの、wz1935は再生産されなかった。だが人気はあり、現存しているものは最低でも2500ドルで取引されている。
コルト社を通じ輸出された.45 ACPモデルは、アメリカ軍将校に好まれて使用されており、戦後のアメリカ軍トライアルでもコルト社は当銃の改良型を提出。採用こそされなかったが高い評価を受け、以降のガバメントシリーズに大きな影響を与えている。
ソ連でも捕獲した当銃をしばらく制式としており、当銃のデコッキングレバーシステムをマカロフに採用している(旧西側と旧東側でデコッキングレバー装備の拳銃に違いが見られるのはこれが原因。ワルサー P38やベレッタ M92などのデコッキングレバーの選択が上:解除 下:ロックになっているのに対し、ラドムやマカロフなどは上:ロック 下:解除になっている)。
なお、当初は設計者のビィルニエブツィック(Wilniewczyc)とスコルツィピンスキー(Skrzypinski)らの名前の頭文字からWISと名付けられるはずだったが、発音が近くラテン語でPower(力)を意味するVISと呼ばれるようになった。
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