全長 | 重量 | 口径 | 装弾数 | 連射速度 | 発射形式 | 製造国 |
399mm | 2.8kg | 9mmx19 | 25 | 1100発/分 | S/F | 日本 |
陸上自衛隊の空挺部隊向けとして開発された護身用機関拳銃。略称は「M9(エムナイン)」。なお、「拳」は常用漢字ではないため「けん」とひらがな表記される(ただし最近の陸自のHPでは『拳』の表記になっている)。
9mmx19弾を使用し、制式拳銃である9mmけん銃?と弾薬の共有が考慮されている。ちなみに上載写真の物は量産品ではなく、実際は製品には木材は使用されていない。
さてこの機関拳銃、開発側は沈黙しているが、短機関銃のウージー?を参考にしたらしく外見も構造も酷似している。ただし、ウージーと違ってボディをプレス加工ではなく、全てを削り出し加工で製作しているために値段は1挺42万円と非常に高価(原因は製造元のミネベアがプレス加工用機械を導入しなかったため)。
当然性能もウージーに似ており、発射速度は高いが命中精度は悪い。安全装置も甘く、地面に落ちたら最後、弾が尽きるまで弾を吐き出しながらのた打ち回る危険な代物である(フォアグリップと長いフラッシュ・ハイダーのおかげで、命中率は高いという意見もある*1)。
そもそも精鋭部隊である第一空挺団にこんな中途半端な火器*2を使用させる事自体、不可思議な採用と云わざるを得ない。実はこれには理由がある。
一説によると、1990年代に自衛隊がPKO活動で国外派遣される事となった時、国内外から「また戦争するつもりか!」「帝国主義の復活!」などと非難を浴びた。そこで政府は妥協案として派遣部隊に過度の自衛火器を持って行かない事を約束し、その装備は機関銃数挺と護身用拳銃のみに制限される事となった。PKO活動とは云え、無政府状態の治安の悪い地域へ隊員を貧弱な装備で派遣することは自殺行為。そこで防衛庁は前述の制約をかいくぐるため、一般定義的には短機関銃である筈の本銃を「ストックが無いし小さいでしょ? ですからこれは機関『拳銃』です」とでっち上げ、護身用拳銃だと云い張りPKO派遣部隊に持たせたというのである。
だが、2001年の東ティモールPKO派遣や2003年のイラク復興支援の際に、自衛隊員が本銃を装備していた写真や痕跡が無かったことから、「関係官僚のミネベアへの天下りの為に作っただけ」という噂もある。どちらにしろ、現場側の要求ではなく官僚側の政治的背景から作られたというのが定説である。
現在は海上自衛隊の護衛艦や航空自衛隊の基地守備隊において、9mmけん銃の後継としてかなりの数が配備されている。陸上自衛隊では、2002年に新設された空中機動旅団である第12旅団を中心にかなりの数が行き届いている。
しかし、高い連射速度とは裏腹にストックが装備されていないことからコントロールに難があり、海上自衛隊の特別警備隊ではいち早く高性能機関けん銃?に切り替えている。
結局、2003年の調達を最後に2004年以降は要求されておらず配備終了となったらしい。
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