
| モデル | 全長 | 重量 | 口径 | 装弾数 | 連射速度 | 発射形式 | 製造国 |
| EVOLYS 5.56 | 850mm | 5.5kg | 5.56mm×45 | 100発/200発弾帯 | 750〜800発/分 | S/F | ベルギー |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| EVOLYS 7.62 | 925mm | 6.2kg | 7.62mm×51 | 50発弾帯 |
FN ハースタル社が2021年に発表したFN EVOLYSは、従来の軽機関銃であったFN ミニミを再構築する形で開発した新世代の軽量分隊支援火器である。同社自身が「ミニミの後継ではない」と明言したように、従来の軽機関銃を単純に更新するための銃ではない。
「ウルトラ・ライト・マシンガン」という新しいカテゴリーの機関銃として開発された本銃の基本思想は、分隊火力の維持と個人火器並みの機動性の両立にある。近年の歩兵戦闘では、光学機器の普及や個人装備の重量増加、屋内戦と中距離射撃が混在する状況などが一般化しており、従来型軽機関銃の重量や操作性は運用上の負担となりやすい。こうした課題に対し、より軽く、アサルトライフルに近い操作性を有しつつ、分隊火力としての持続射撃能力も確保するという要求から、本銃の開発された。
レシーバーはアルミ製のモノリシック構造で、上部にピカティニーレール、側面と下部にM-LOKスロットを備え、光学照準器・可視/赤外レーザー・銃把などの装着を標準化している。また、削り出し加工の最適化により、強度を維持したまま重量を抑えることに成功しており、複数のアクセサリーを搭載した状態でも銃全体のバランスが崩れにくい。
作動方式にはショートストロークガスピストンを採用し、ピストンが短い距離だけ動いてボルトキャリアに力を伝えるため、可動部品の質量が軽く、反動要素を抑えられる。また、ガスシステムが高熱を受けにくいため、長時間射撃において作動安定性を維持しやすい。さらに、ショートストローク方式は汚れによる作動不良の発生率を下げられる点も軽機関銃として有利であり、ミニミのようなロングストローク方式と比べて内部加熱が抑制されるのが特徴である。
撃発方式はオープンボルトで、軽機関銃として一般的な設計を踏襲している。発射サイクルの開始時に薬室が開放されているため、連続射撃中の過熱によるクックオフのリスクが小さく、冷却効率にも優れる。この基本設計は従来型軽機関銃と同様だが、EVOLYSではボルトキャリアの質量分布を見直し、作動時の揺動を抑える方向で最適化されている。これらの設計により、5.56mm仕様で約5.5kg、7.62mm仕様でも約6.2kgという軽さを実現している。
EVOLYSの特徴としてよく挙げられるのが、ベルト給弾の扱いやすさである。従来の軽機関銃では、給弾カバーを開け、弾帯をガイドに沿わせ、テンションを調整して閉じる必要があったが、本銃では弾帯を平らに置くと内部機構が自動的に正しい位置へ導く構造が採用されている。この自動整列構造により、装填に要する時間が短縮され、誤給弾や装填ミスを減らす効果が期待できる。従来のミニミと比較した場合、操作工程の簡略化と給弾の信頼性向上は明確であり、特に限られた時間で機関銃火力を再投入する場面で有利に働く。
反動制御については、銃尾側に油圧式バッファを組み込み、射撃時に生じる衝撃を段階的に吸収する仕組みが採用されている。軽量化された軽機関銃は反動が強くなりがちだが、本銃では可動部品の軽量化と油圧バッファの併用により、射撃時の跳ね上がりを抑え、姿勢変化の少ない連射を実現している。立射や移動射撃でも照準保持性が高いという特徴を持つ。これは「アサルトライフルのように扱える軽機関銃」という本銃の狙いを体現した部分といえる。
口径は5.56×45mm NATOと7.62×51mm NATOの2種類が用意され、基本的な操作系は共通化されている。訓練負担が少ない点は部隊運用上の利点となり、任務に応じて必要な火力や射程に合わせた口径選択が可能である。FNによれば内部構造に余裕があり、他口径への拡張も視野に入れて設計されているとされ、将来的には口径交換方式への発展も見込まれている。また、当初からサプレッサーを装着することを念頭において設計されており、サプレッサーを取り付けてもパフォーマンスが低下することがなく、設計段階からフィンランド製のASE UTRAサプレッサーを採用している。
現在EVOLYSは、欧州各国を中心に試験導入が進められている段階で、大規模調達にはまだ至っていない。しかしながら、軽量化と操作性向上を重視する近年の歩兵装備の傾向を考えると、アサルトライフルと軽機関銃の中間に位置するこうした銃の需要は今後拡大していく可能性が高い。ミニミの登場から約40年が経った今、FNは再び歩兵火力のあり方を更新しようとしていると考えられ、EVOLYSはその新しい方向性を象徴する製品となりつつある。
| モデル | 解説 |
| EVOLYS 5.56 | 5.56mm×45弾を使用する標準モデル。最軽量で取り回しが良く、都市戦・CQB向き。 |
|---|---|
| EVOLYS 7.62 | 7.62mm×51弾仕様。従来の7.62mm機関銃より大幅に軽量で、長距離火力任務を想定。 |
| 6.5×48mmクリードムーア弾/.260レミントン弾 | 特殊部隊での使用を想定して開発中。 |
| 登場作品 | ジャンル | 使用者 | 備考 |
| Warface | ゲーム | − | EVOLYS 5.56モデルが登場。 |
| コールオブデューティ:モダンウォーフェアIII | − | − | 参照項目 |
| バトルフィールド2042 | − | − | 参照項目 |
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