タクティカルリロード / Tactical reload †
弾倉が空になる前に、つまりまだ弾が残っている弾倉を外して、新しい弾倉を再装填(リロード)すること。
なお、完全に弾が切れた状態でのリロードは「エマージェンシーリロード」という。
交戦中、不意に弾切れするのを避けたり、相手に残弾数を読まれないために行う。
当然ながらこれを繰り返すと中途半端な残弾数の弾倉が増えてしまうため、実行する際は未使用/使用済の弾倉を区別しておかなければならない。
タクティカルリロードに限らないが、弾倉交換は基本的に銃を構えたままで行い、交戦中のリロードはなるべく避けるのがベストとされる。
弾切れや長時間の銃撃戦など、交戦状態でのリロードが避けられない場合では、仲間に弾倉交換と援護を呼びかける(「Reload!」 「Loading!(リロード中)」などと叫ぶ)。
リリースした弾倉はその場に棄てず、マグポーチに戻すか、様々な小物を放り込んでおくためのダンプポーチなどに入れておく。薬莢も同様だが、屋内などの狭所戦闘では放置された弾倉につまづく危険性もバカにできないため、近年は後者の手法が普及している。
逆に弾倉を銃からリリースしたまま回収せずにリロードすることを「スピードリロード」という。スポーツシューティングではこのスピードリロードの反意語として「(残弾の有無に関わらず)リリースしたマガジンを棄てずに弾倉交換を行うこと」の意味で「タクティカルリロード」が使われることもある。タクティカルリロードは「戦術的に有効な弾倉交換の手法」という、より広義な用語ともいえるだろう。
リロードテクニックの亜種として、「ニューヨークリロード」が存在する。これは、メインとは別にバックアップの銃器を常に携行し、一挺目の銃が弾切れ・ジャム等を起こしたら、即座に二挺目の銃を抜く・・・というもの。
"ニューヨーク〜"の呼び名は、サイドアームの主流がまだリボルバーであった時代、ニューヨーク市警のオフィサーが、扱いにくいスピードローダーでリロードするよりバックアップを携行して持ち替えるほうが早い、ということで用いたテクニックであったことが由来とされている。このことから、銃のスイッチングでも、特に拳銃のそれを「ニューヨークリロード」と呼ぶ向きがある。
実際、リボルバーに限らず、マガジンのリロードよりもバックアップガンを抜くほうが早い点は、自動拳銃や自動小銃などの着脱式マガジンをもつ銃器でも同様である。このため(ニューヨークリロードと呼ぶかはともかく)重要なテクニックとして、軍・警察特殊部隊でも採り入れられている。
フィクション作品の中には、続けざまに銃を持ち替える、という演出が用いられる事がある。弾切れを起こしたらその度に敵から奪ったり、最初から大量の銃を携行し「弾切れ→捨てる→別の銃に持ち替え」……といった使い捨てスタイルが代表的だが、実際のニューヨークリロードとは意味合いが異なる。
ゲーム作品中での描写 †
余談ではあるが、ゲーム作品の中にはタクティカルリロードをアクションとして操作可能なものが多い。ただし、ほとんどの場合「タクティカルリロードの再現」を意図したものでは無く、単にプログラムの仕様上、あるいはゲーム上の遊びやすさを優先した故のものである。
また、「装弾数」という概念はあっても、たいてい「弾倉」という概念はない。例えば、グラフィック上ではスピードリロードである(弾倉を捨ててしまう)にも関わらず、最大携行弾数は減らない、といった具合である*1。
代表的な例は『メタルギアソリッド』シリーズ*2や『グランド・セフト・オートシリーズ』で、現在装備している銃器を一旦解除し(もしくは別の武器に持ち替える)、再度装備するとフルロード状態となる。この場合、現実のタクティカルリロードと違って、リロード動作そのものをキャンセルするので動きまでは再現されていない。
それに対し、『バイオハザード4』では、忠実にリロード動作を操作することができる。ただ前述したゲームにも同じことが言えるが、薬室分の装弾はリセットされてしまう。またリリースした弾倉は一旦回収されるので、中途半端な残弾数の弾倉が残る事態は起きない。
『4』以前の『バイオハザードシリーズ』ではアイテム画面を開き、画面内で弾と銃器を組み合わせることで隙の無いリロード(ポーズしている間にリロードということ)をすることも出来る特有のタクティカルリロードがある(『サイレントヒル』でも同じことが出来る)。
例外的に『レインボーシックス』シリーズに代表されるリアル系FPSゲームでは、弾倉の概念が半ば採り入れられ、リリースした弾倉はその時点の残弾数の状態でストックされるなど総じてリロード動作の再現度が高い。