エールフランス航空機ハイジャック事件 †
1994年12月24日の昼頃、アルジェリアのホウアリ・ポメディーン空港にてエールフランス航空エアバス8969便が離陸直前にAK47とウージーで武装したイスラム原理主義者である過激派4名にハイジャックされ、乗客乗員280名が人質となった。
アルジェリアにて収監されている指導者の釈放を求める犯人に対し、フランス政府はアルジェリアへGIGNの派遣を提案するもアルジェリア政府はこれを拒否。
さらに犯人側からのフランスへの飛行の要求も脅しと甘く見て拒否したため、事件発生から9時間後、乗客三人がタラップ近くまで連行された挙句に射殺されてしまう。
事態を重く見たアルジェリア政府はフランス政府と協議した結果、フランスへの飛行を許可し、エアバス8969便はフランスへ向け離陸。
8969便がフランスのマルセイユ空港に着陸した際、GIGNに召集命令が掛かり、突入準備が進められた。
犯人側は着陸後に食料と水の他、パリへの飛行のためという理由で必要以上の燃料の補給を要求するが、これが持ち込んだダイナマイトを利用して自爆テロを行なおうとしていたためと判明する。
26日の午前5時。強行離陸を試みようとする犯人に対し、GIGNは突入を決行。
管制塔側に狙撃チームを配置した上で、MP5と拳銃で武装した隊員が移動タラップ車三台を利用した強行突入を開始。
機内にいた犯人らは機体のドアからタラップ車に向けて発砲するが直ぐにドアを閉め、コクピットに集結。機内に突入し、コクピット側に向かったGIGN隊員の1人が、そこに集まっていた犯人4名とはち合わせて撃ち合いになったのを皮切りに機内で銃撃戦が開始される。突入からまもなくして犯人側の3名が射殺されるも、GIGN隊員側も幾人も被弾して負傷。特に最初に犯人らとはち合わせた隊員は腕を中心に8発も撃たれるという重傷を負った。
残った犯人の一人はコクピットに立て篭り、隊員側と激しい銃撃戦を展開。AK47と手榴弾で攻撃してくる犯人に対し、GIGN側は拳銃やMP5、スタングレネード、狙撃銃で対抗するもコクピットの機材が邪魔をして有効な攻撃を行なえず、負傷者を増やしてしまう。
突入から20分近く経過したのち、GIGNは同時に出動していたフランス国家憲兵空挺介入部隊から貸し出された12.7mm対物狙撃銃を使用して犯人の射殺に成功。
最終的に犯人側は全員射殺され、9名のGIGN隊員が負傷。残った人質は銃撃戦で数名が負傷するも死者は出なかった。
この事件は後に映画『フランス特殊部隊 GIGN(原題:L'Assaut)』として映像化されているが、劇中の一部に機外より撮影されていた突入作戦時の実際の映像が挿入されており、タラップで援護していたGIGN隊員が犯人からの銃撃を手にしていた拳銃に受け、火花を散らしながら転がり落ちるなど、衝撃的なシーンが使用されている。