全長 | 銃身長 | 重量 | 口径 | 装弾数 | 射速度 | 発射形式 | 製造国 |
635mm | 222mm | 3.56kg | 7.65mm×20 Longue | 32 | 600〜700発/分 | F | フランス |
MAS Mle1938(MAS-38)はフランスのサンテティエンヌ造兵廠(Manufacture d'Armes de Saint-Etienne…MAS)で1938年に開発され、1939年にフランス軍に制式採用された短機関銃である。第二次世界大戦におけるフランス軍唯一の制式短機関銃であった。
1930年代初頭、フランス軍は制式装備に無かった短機関銃の開発を各地の造兵廠にて進めた。1935年にサンテティエンヌ造兵廠がプロトタイプ“SE-MAS35”を開発、1938年にはMAS-38が完成し、翌1939年にこれをフランス軍が採用した。
使用弾薬は7.65mm×20ローン弾*1で、アメリカのレミントンアームズ社が第1次世界大戦末期に、かのピダーセン・デバイス用に開発した弾薬である。当初、.30-18オート弾の名称であったこの弾は、第1次大戦終結でピダーセン・デバイスともに不要となって廃棄されるはずだったが、フランス軍が買い取ったためレミントンが生産を継続したのである。
7.65mm×20ローン弾は、当時の代表的短機関銃であるMP38やM1トンプソン等に用いられる弾薬と比べると非力である。先の大戦で9mmパラベラム弾を使用するMP18に痛い目を見た国の銃とは思えない選択かもしれないが、低威力ゆえ反動制御が楽で、命中精度の向上につながったという面もある。
作動方式はオープンボルトからのシンプルブローバックで、射撃はフルオートのみ。機械的にはオーソドックスながら、ボルトの駆動軸と銃身の射線軸の角度がオフセットされ交差するという、非常に特徴的なレイアウトを採用している。また、当時の短機関銃としては非常にコンパクトなレシーバーに見えるが、ボルトは銃床内のチューブまで後退する設計となっており、ボルトサイズ自体は当時の標準的なものである。この設計と、照準線を低く設けようとしたことから、後のAR15のような直銃床とすることなく、ストックの角度がレシーバーごとオフセットされた。
排莢孔とマガジン挿入孔にはダストカバーが備えられた。レシーバー上に挿入孔があるブレン軽機関銃のような例はあるものの、レシーバー下にマガジン挿入孔を持つ銃にカバーを設けるのはかなり珍しい。さらにもう一つ珍しい設計として、スリングを固定する金具の先端がエジェクターを兼ねているという点もある。トリガーは前方に畳むことができ、これがマニュアルセイフティとして機能していた。アイアンサイトはフロントサイトがブレード、リアサイトが二段階折りたたみ式のシンプルなものである。
戦前の銃としては珍しく、工具なしでの分解が可能な設計になっている。また、部品は殆どが切削加工で作られており、プレス加工パーツは少ない。
MAS-38が祖国のために働いた期間は実に短かった。1940年にフランスがドイツに占領され、MAS-38は生産設備ごと接収されることとなり、“MP722(f)”としてドイツ軍で使用されることになる。こうして大戦中はドイツ軍にて二線級火器に甘んじ、戦後は初期のインドシナ戦争で使用されたが、すぐさまMAT-49に取って代わられ、警察用に払い下げられてしまった。
不遇な銃だったと言っても過言ではないだろうが、フランスではそれなりに作品に出演しているらしく、未だ国民には愛されているのかもしれない。
登場作品 | ジャンル | 使用者 | 備考 |
コール オブ デューティ2: ビッグ レッド ワン | − | − | 項目参照 |
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