ベトナム戦争期にアメリカ海軍内に設立された特殊任務部隊。
前身は第二次大戦で水中での破壊工作や上陸支援などを行っていたUDT(Underwater Demolition Team:水中破壊部隊)であり、ベトナム戦争でもその有効性が認められSEALへと改編された。名前の「SEAL」は活動範囲である海空陸「SEA AIR and LAND」を繋げた造語であり、動物のアザラシ(Seal)とかけてある。
現在、アメリカ軍の派遣地域に1チームづつ、全6チームの個別部隊が存在し、チーム1(東南アジア),2(ヨーロッパ&北極),3(中東),4(アメリカ本土&南アメリカ),5(極東),8(地中海、アフリカ)が派遣されており、それぞれのエリアを担当している。それとは別に抗テロと戦術実験を目的としているのがチーム6であり、部隊内部でも最も情報の統制が厳格で、秘匿性の高いチームである。このチームのみ世界全域を活動範囲としており、一説にはSEALの使用する武器や装備品の開発にも重大な関与をしているとか。
軍事組織系の特殊部隊としてはSASと並んで最も有名な部隊であり、装備、人員、作戦遂行に可能な技術の全てにおいて世界最高であると同時に、訓練そのものは人間の限界を遥かに越えるほど過酷極まりないものであり、志願者の90%以上が選抜訓練の最終段階以前に脱落するとも言われている。
特に1日に4時間以上の睡眠時間は許されない第8週目の訓練期間は、“ヘルウィーク"と呼ばれるほどに過酷であり、志願者は階級による差別は一切無いため、時に死者が出ることもある。それでも人員に不足が生じない理由は、海軍でありながらアメリカ全軍から志願者を募っているからでもある。
パナマ侵攻や湾岸戦争、アフガニスタンのタリバン政権崩壊作戦や現在は泥沼化しているイラク戦争などの軍事作戦以外にも、対テロ作戦に従事する機会も多いらしい。そのため、通常の特殊作戦部隊の技能と同時に対テロの最精鋭部隊としても機能することが多くなってきたようだが、時として友好国や同盟国への対テロ作戦の技能供与に協力することあるようで、海上自衛隊内部に存在が確認されている日本版のSEALであるSGT(特別警備隊)の訓練に影響を与えたようである。
ちなみに、SEALの隊員は時として迷彩服ではなく、私服での任務に従事することもある(カルザイ大統領暗殺を阻止したのは報道関係者に扮したSEALの隊員だったらしい)。
その際に使用する装備の中には、予備の弾薬以外の様々な物品(応急処置用の医薬品や地図など)の入ったチェストリグというものを身に付ける場合が多い。
これはアラブの民兵が装備していたものを真似たもので、SEALの隊員が仮に他の装備は捨てても、これだけは捨てないと言われている。
そのようにする理由は不明だが、一説にはこの中に357マグナム口径のステンレス製リボルバーを仕込んで、離脱や逃走の際の最終手段として使うためだからと言われている。
部隊の性格上、長くその活動は一般に知られることはなかったが、映画『ネイビーシールズ』を皮切りに徐々に知名度が上昇。メディア作品への登場も増え、今ではグリーンベレーなどに替わってアメリカ特殊部隊の代名詞的存在となった感がある。
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