攻撃対象が人間では無く、戦車や装甲車を対象にした火器。
第一次大戦で歩兵が持つ小火器(小銃、突撃銃)を受け付けない戦車が発明されて以来、これに対抗する強力な火器が時代と共に開発されていった。第一次大戦後には大口径のライフル弾で戦車の装甲を貫く対戦車小銃が登場したが、個人で扱う小火器としては限界が生じた。そこで、第二次大戦前後のロケットや弾頭技術の発達により、M9バズーカやRPzB43パンツァーシュレッケなど、個人でも扱える成型炸薬弾式の対装甲火器へと移行していった。
第二次大戦後は従来のロケット兵器に発展を加えた、無誘導だが比較的安価なRPG7やM2カールグスタフと、高価な誘導装置を搭載したM47ドラゴンや9K32ストレラなどのミサイル兵器の2系統の対物火器が進化発展を続けている。
戦車技術の進歩により、いったん廃れた対戦車小銃だが、大口径の重機関銃を用いた長距離狙撃が評価されるようになると、対物小銃(アンチマテリアルライフル)または大口径狙撃銃(ラージキャリバー・スナイパーライフル)へと名前を変えて復活する。その威力と貫通力の高さから、ヘリや軽装甲車を破壊するのに多く用いられるいっぽう、通常のライフル弾に比べ遥かに重い弾体のおかげで、風の影響を受けずに遠くまで弾丸が届くので、長距離狙撃銃として使用することも可能である。
なお、RPG7やパンツァーファウストIIIなどは一般には『ロケット砲』と呼ばれることが多いが、これらは発射には火薬(炸薬)を用い、発射後にロケットブースターに点火される仕組みで、発射時からロケットに点火するバズーカなどの『ロケットランチャー(ロケット発射器)』とは性格が異なる。
厳密にはRPG7などは『擲弾発射器』と呼ぶのが正しいが、いわゆるグレネードランチャーとは性格を異にするので、本項では『対戦車擲弾発射器』と分類している。
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