手榴弾*1とは、手で投げる小型の爆弾である。grenade(グレネード)の名称は「榴弾」の訳語のとおり、石榴(ざくろ/pomegranate)に由来する。炸薬や金属片を球殻内に充填した構造が、種を含んだ多量の小さな果肉を内包する石榴の実を連想させることから、こう呼ばれるようになったという。
爆発手榴弾(エクスプローシブ・グレネード)、化学手榴弾(ケミカル・グレネード)、ガス手榴弾(ガス・グレネード)の三つに大別される。
爆発手榴弾は、主に対人殺傷用として用いられ、発射装置を必要としない安価な飛び道具として、歩兵の基本的装備となっている。一般的には相手に投げつけて使用するが、敵車両に肉迫して内部に投げ込んだり、水中に落として潜水兵相手に使用することもある。
最初期のものは、中空になった球体に火薬を詰めて導火線を付けたもので*2、導火線に着火してから投げるものだった。現在の手榴弾のように歩兵全員に支給されることは無く、擲弾兵と呼ばれる専門の訓練を受けた歩兵が使用していた。
比較的扱い易いよう、安全装置を取り付けた手榴弾は、第一次世界大戦から使用されるようになり、以後さまざまな形状や安全装置が各国で試された。
爆発手榴弾は下記の2種がある。
爆発手榴弾は、その加害半径と投擲距離から「防御手榴弾(ディフェンシブ・グレネード)」と「攻撃手榴弾(オフェンシブ/アサルト・グレネード)」の二種類に分類される。加害半径が投擲距離を上回る「防御手榴弾」は、強力であるが使用者が遮蔽物に身を隠す必要があるため、塹壕などから接近する敵を排除するために用いられる。一方、「攻撃手榴弾」では加害半径は投擲距離よりも短いため、使用者は攻撃手榴弾を投げながら突撃を行うことが出来る。
防御手榴弾と攻撃手榴弾は、塹壕戦や歩兵による突撃が存在した第二次世界大戦までは広く使い分けられて来たが、現代では長距離戦や機動戦が多いため、軽量で汎用性が高い攻撃手榴弾が、各国軍の制式手榴弾の主流となっている。
破片手榴弾の破片は非常に強力なもので、その初速はライフル弾などを遥かに超えマッハ6(約2km/s)以上に達する。破片一つ一つの質量はごく小さいため厚い物体を貫通することは無いが、加害半径内であれば、ヘルメットやソフトアーマーなどの薄い遮蔽物はたやすく貫通してしまう程である。
催涙ガス弾や発煙弾などの化学・ガス手榴弾は、低致死性もしくは非殺傷手榴弾とも呼ばれるもので、暴徒鎮圧や信号用に使用される。
メディア作品ではしばしば爆発手榴弾によって対象が炎上する描写が見られるが、こういった現象は実際には専用の焼夷手榴弾を用いなければ起こるものではない。ただし、現在主流の閃光弾は至近距離では非常に強い火炎を一瞬生じるもので、これにより「無傷」で無力化される筈の犯罪者や、犯罪歴の無いその友人や近縁者などが大火傷を負い、法執行機関が提訴される事例も少なからず発生している。
以下著名なものを記載する。
モデル | 種類 | 製造国 | 備考 |
F1手榴弾 | 破片手榴弾 | フランス | − |
ミルズ手榴弾 | 破片手榴弾 | イギリス | No.5/No.23/No.36 |
Mk2手榴弾 | 破片手榴弾 | アメリカ | 通称"パイナップル" |
M24柄付手榴弾 | 攻撃手榴弾 | ドイツ | 柄付手榴弾 |
M39卵型手榴弾 | 攻撃手榴弾 | ドイツ | − |
九七式手榴弾 | 破片手榴弾 | 日本 | − |
RGD-33柄付手榴弾 | 攻撃・防御両用手榴弾 | ソヴィエト | 柄付手榴弾 |
F1手榴弾 | 破片手榴弾 | ソヴィエト | − |
モデル | 種類 | 製造国 | 備考 |
M26/M61破片手榴弾 | 破片手榴弾 | アメリカ | 通称"レモン" |
M67破片手榴弾 | 破片手榴弾 | アメリカ | 通称"アップル" |
MK3手榴弾 | 攻撃手榴弾 | アメリカ | − |
M84閃光手榴弾 | 低致死性手榴弾 | アメリカ | − |
M18発煙手榴弾 | 非殺傷手榴弾 | アメリカ | 発煙弾 |
DM51手榴弾 | 攻撃・防御両用手榴弾 | ドイツ | − |
RGD-5破片手榴弾 | 破片手榴弾 | ソヴィエト | − |
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