VKT L-35 【自動拳銃】

L-35
全長銃身長重量口径装弾数製造国
245mm107mm1220g9mm×198+1フィンランド

 L-35はフィンランドの銃器開発者アイモ・J・ラハティによって開発され、同国のVKT(共和国銃器工廠)で1935年から1952年まで製造された自動拳銃である。設計者の名前を取ってラハティL-35と呼称することもある。

 L-35の作動方式はショートリコイル式でロックドブリーチとなっている。ハンマーは内蔵式でシングルアクション。非常に寒冷な北欧の気候に対応するためにボルトアクセラレーター*1が装備されており、動作の信頼性を底上げしている。
 アイアンサイトはドーブテイルのフロントサイトにUノッチのリアサイトの組み合わせである。実際に使った者によると軍用としては驚くほど照準しやすいとか。セイフティは直接シアに干渉するタイプで、左側面に備え付けられており、右側(握った際は手前側)でロック、左側(奥側)でファイアポジションとなっている。
 マガジンは箱型の8発入りで、マガジンキャッチは底部に備え付けられているタイプである。スライド上部には薬室に弾薬が入っているか否かを見分けるためのローデッドインジケーターも備えられている。グリップのバックストラップにはホルスターを兼ねるストックを装着するためのミゾが掘られていた。

 L-35は先述のとおり、フィンランドの高名な銃器設計家アイモ・ヨハンネス・ラハティの設計した銃の一つである。スカンディナヴィアの厳しい冬の中でも確実に作動する拳銃を、ということで1929年に開発が始まり、ラハティは試作品“L-29”、“L-31”に続いてL-35を完成させた。L-35は製造開始の1935年から早速フィンランド軍に制式採用され、かの冬戦争で初陣を飾る。以降、1980年代にハイパワーDAが採用されるまで現役であり続けた。少量だが、第4期*2生産品は民間にも供給された。フィンランドにおける生産での工程は手作業が多く手間暇がかかったため、生産終了までの総生産数は約9,000〜12,000丁ほどだったと言う。

 他方、スウェーデンではハスクバーナ銃工廠にて“M/40”としてライセンス生産され、1940年から同国軍に制式採用された。当時スウェーデン軍ではP38を制式採用する予定だったのだが、第二次世界大戦の勃発によりドイツ産兵器の運用に不便が生じたため、隣国フィンランドのL-35に白羽の矢が立ったのだ。L-35との相違点としては、より大型のトリガーガードを装備したこと、ローディングインジケーターやボルトアクセラレーター、ストック装着のための基部を廃したことなどである。1940年から1946年までの間に約100,000丁ほどが生産された。ちなみに、本家のフィンランドが生産終了後のL-35を新たに1,250丁必要としていた際は、逆にフィンランドに向けて輸出したこともあったという。
 しかし、使用した鋼材が適していなかったことや、スウェーデン軍で通常用いられる9mm×19弾が短機関銃用の強装弾だったことが災いし、1980年代頃にヒビが入る個体が出始めたため、M/40は制式装備から外されてしまう。その後、スウェーデン軍ではグロック(M/88)が導入されるまでの間M/07(ブローニングM1903)が制式拳銃となった。

登場作品ジャンル使用者備考
Endless War 4ゲームフィンランド軍兵士海外のブラウザゲーム
知りすぎていた男映画暗殺者

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最新の10件を表示しています。 コメントページを参照

  • 結構、重い銃だな -- 2014-07-27 (日) 11:17:47
  • お、待てい、P38とは確かにバレル周りとかフォルムとか割りと似てると思うゾ、同年代だし まぁグリップアングル的にはP08のほうが似てる気もするけど  -- 2014-07-27 (日) 11:23:00
  • 俺は逆にp08との見分けがつかねえw -- 2014-07-27 (日) 12:14:55
  • ポッチャマ…一四年式との違いがわからないゾ…雰囲気が違うぐらいしかわからないゾ… -- 2014-07-27 (日) 19:11:01
  • ↑後ろの方の引っ張る所が結構違うって、それ一番言われてるから。 -- 2014-07-27 (日) 19:15:04
  • 銃好き少年には拳銃の違いが分からないのか(偏見) コッキングピースの形状は結構凝ってるから見とけよ見とけよ〜 -- 2014-07-27 (日) 19:34:11
  • 俺の思ったことだがルガーにモーゼルのコッキング部分を取り付けた感じですね。 -- 2014-07-27 (日) 22:36:21
  • ストライクウィッチーズ 公式コミックアラカルトで二パ・エドワーディン・カタヤイネン曹長がサイドアームとして使用 -- 2014-08-29 (金) 20:54:32
  • ↑二パではなくニッカでした。失礼しました。 -- 2014-08-29 (金) 21:40:27
  • ラハティなんてアラブっぽい呼び方するからなんだ?と思ったけど、なんで古くからある「ラチ」って呼び方を避けたの?「ラチL35」のほうが日本じゃ通りが良いのに -- 2014-08-29 (金) 21:54:49
お名前:

*1 ボルトをより強く閉鎖させる機構
*2 1935年から1952年までの間、L-35は4期に分けられて生産された。1期が1935〜1941年、2期が1941年から翌42年、3期がフィンランド軍向けの最終ロットで、4期での生産品が本文どおり民間に供給されたわけである。

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