日本語では負革や負い紐、背負い紐と呼ばれることもある、行進などの際に銃を肩に掛けるための紐。歴史は古くマスケット銃の頃には既に存在していた。取り付けられているのは小銃や短機関銃、散弾銃といった両手で持つ長銃(ロングアーム)が大半であり、これを使用して腰だめや伏射での射撃の際に銃を固定することもある。
かつては革製だったが、現在ではナイロンなどの化学繊維製が最も広く用いられている。パラコード*1を編み込んだものを代用する場合もある。
スリングを取り付ける為に銃に備えられた金具をスイベルと呼ぶ。これが無い場合、ストック?等にスリングを巻き付けて代用することがある。最近ではクイック脱着式でスイベルが交換可能になっていたり、ピカティニーレールに取り付けるスイベルが登場している。
主に以下のような形式のスリングが存在する。
・1点式(シングルポイント)
スリングと銃が1点で接続される形式。銃の自由度が高く、取り回しやすくスイッチング(持ち手の切り替え)・トランジション(武器の切り替え)もしやすい。その一方で保持性が低く、銃がぶらつきやすいため、携行時の負担は他のスリングより大きい。小型・軽量な銃や、CQBにおいてよく用いられる。
・2点式(ツーポイント)
スリングを銃の前後2点で接続する形式。もっともベーシックな形である。銃を背負うことが出来、非使用時の保持性が良く、長い銃に向いている。また長い銃で使用する場合は、腕にスリングを巻くことで構えた時の安定性を増加させることが出来る。一方でスイッチング、トランジションには不向きである。
最近では1点式と2点式の切り替えが可能だったり、素早く長さを調整できる製品が登場している。最近では2点式への回帰が始まっている。*2
・3点式(スリーポイント)
1点、2点に合わせて3点と呼ばれているが、実際に銃とスリングは2点で繋がっている*3。後方のスイベルを支点にしてスリングの先端をスリング中間で自由に移動できるように接続した形式。携行時はロックを掛けスリングを短くし、射撃時はロックを外しスリングを伸ばすことで、携行時・射撃時それぞれの理想な保持性を併せ持つことが出来る。1点式・2点式の利点を併せ持つ一方で、複雑でスリングの付け外しが面倒といったデメリットがある。AR15の場合、ボルトリリースボタンと干渉してしまうこともあるようだ。
軍や法執行機関等で一昔前までは幅広く使われていたが、現在では古い形式として使われなくなっているという。タクティカルスリングとも呼ばれることもある。
なお、ピストルに取り付けられる紐は「ランヤード」と呼ばれる。こちらは保持というよりも、ホルスター脱落時の紛失防止や強奪防止が主眼に置かれている。現代では収納時に短く、使用時に長く伸ばせるコイル状の紐が使われる。
ランヤードの取り付けのためのポイントは、リング状が多いことから、「ランヤードリング」と呼ぶ。場所は多くの場合がグリップ底部だが、マガジンキャッチが底部にある拳銃では側面となる。
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