ウルトラヴァイオレット / Ultraviolet

2006年、アメリカ映画
監督:カート ウィマー
 
ウイルス兵器研究所

・ストーリー
 21世紀末の近未来。アメリカ政府が発見した新種のウイルスは瞬く間に広まり、世界を変えてしまった。
感染した超人間≪ファージ≫は、体力・知力ともに驚異的な能力を備えている反面、感染後12年で命を落とす運命を背負うことになった。
この驚異的なパワーを秘めたファージに恐れを抱いた人間政府は、彼らの抹殺を企てる。
 一方、生き残ったファージも反政府組織を結成、ファージと人間政府の激しい戦い≪血の戦争 -the Blood Wars- ≫が勃発した。
その戦争の最中、政府は彼らを一瞬で絶滅させる最終兵器を開発する。対してファージ側は、その兵器を奪取すべく最強の殺し屋を送り込んだ。
 彼女の名はヴァイオレット ソン ジャート シャリフ(Violet Song Jat Shariff)。ウイルス感染をきっかけに、最愛の夫と子供を政府に奪われた彼女の生きる目的は、もはや復讐しかなかった―――。

・作品解説
 本作*1の監督は、『リベリオン -反逆者-?』でガンアクションの新機軸「ガン=カタ」を生み出したカート ウィマー。主演は『バイオハザード(映画)』で、ヒロインを演じたミラ ジョヴォヴィッチ。映画の特徴として、ウィマー監督の前監督作品や、ミラの出演作品との類似点(オマージュ?)が少なからず挙げられる。
 
 ・ヴァイオレットが使用する銃のマズルフラッシュの形状が、バイオハザードロゴ*2になっている
  (『リベリオン -反逆者-?』では、クラリックガンのマズルフラッシュは"十字型"である) 
 ・主人公の主武装がカスタム仕様であったり、銃本体に近接格闘用兵装が内蔵されている
 ・人間政府の兵士等の衣装は、『リベリオン -反逆者-』のリブリア政府の兵士の衣装に酷似
  (『リベリオン -反逆者-』の衣装デザイナーであるジョセフ A ポロが、本作でも衣装デザインを担当しているため)
 二挺拳銃の使い手、一人対多人数の戦闘、管理社会への反抗……といったキーワードは『リベリオン -反逆者-』、
  「ウイルス」「血液」「感染」……といったキーワードは『バイオハザード』と、それぞれの作品に共通する特徴がある

バイオハザードロゴ
 
 
opening illust

 本作のアクションは、東洋武術の型を参考にしていながら、あくまで銃を主体としている『リベリオン -反逆者-』のガン=カタとは異なっている。戦闘の主体は銃ではなく、(新体操の優雅な動きを取り入れた)剣術や蹴り技、そして昨今の格闘術のトレンドになりつつあるCQC……といったように、格闘戦を重視している。
 ヴァイオレットの服装は、一見すると武器を携帯するスペースが無いように思われる。しかし、次元圧縮テクノロジーを応用したブレスレットが、「小さな武器庫」の役割を果たしている。具体的には、物質を素粒子化し、その組織を分解・合成し、瞬時に武器の出し入れが出来るというもの(または、武器をデジタルデータ化して格納している、という説もある)。
 同じく、ヴァイオレットが使用するスクウェアガンガンブレード?にも上記のテクノロジーが応用されており、かなりの弾丸の装填を可能にしている。
 ウィマー監督の前監督作品『リベリオン -反逆者-』では、スリーブガンギミックや独特の装弾ギミック(演出)が見られたので、それらのシーンが無い本作は銃好きな人にとって複雑な心境かもしれない。だが、止まる事を知らぬガン=カタは、まさに"舞いを舞っているような"銃撃戦を上手く演出していると言える。 

 銃主体のGUN=KATAを期待していた人には物足りなさを感じるかもしれないが、しなやかな体躯から繰り出されるアクロバティックなアクションは、見る者を圧倒することだろう。
 ガンファイトに関しては、ガン=カタ項目の「ウルトラヴァイオレットでのGUN=KATA」を参照のこと。

 
 

ファージ

使用者銃器名備考
ヴァイオレット ソン ジャート シャリフG18 スクウェアガン箱型スタビライザー装着
二挺拳銃時もあり
M10 ガンブレード?曲線型デザイン
グリップ内にブレード内蔵
二挺撃ち時もあり
統合省での戦闘で使用
コルト M4A1研究所で戦闘員から強奪
(二つに分解し、打撃武器として使用)
発砲無し
ベレッタ M92FS自殺用(発砲無し)
シグ SG552統合省で兵士から強奪
小型火炎放射器ダクサスから拝借
ナーヴァベレッタ M92FS手下から借用
ナーヴァの手下ベレッタ M92FS
シグ SG552ニードルタワーで使用
ファージの強襲部隊HK G36Cストックレス
血液バンクの襲撃時に使用

政府関係者

使用者銃器名備考
フェルディナンド ダクサスベレッタ M93R 1st衛生用アルミパック包装時もあり
ファージ(ウィマー監督)射殺シーンと
"1対700"の戦闘で使用
小型火炎放射器ラストバトルで使用
政府(統合省)の兵士シグ SG552全編通して使用
HK G36C
GE M134ガバメントカスタム
ヘリ搭載型
チェイスシーンで使用
ウイルス研究所の警備隊長HK G36C公園のシーンで登場(発砲無し)
ウイルス研究所の警備兵シグ SG552ホワイトカラーモデル(発砲無し)
ウイルス研究所の戦闘員コルト M4A1ガバメントカスタム
血液バンクの警備員ベレッタ M92FS感染した同僚の射殺に使用
警察官コルト パイソン4インチのシルバーモデル
ノンフルートシリンダー
回想シーンで登場
ベネリ M3チェイスシーンで使用

ブラッド シノワ

使用者銃器名備考
カーウァイベレッタ M92FSニードルタワーで使用(発砲無し)
ブラッド シノワの構成員ベレッタ M92FSニードルタワーで使用
 
1対700
 

決めゼリフ

■タイトルロールやトレーラー(予告編)でのヴァイオレットのモノローグ:
"Hello, my name is Violet...and I was born into a world you may not understand."
(私はヴァイオレット…そして私が生まれたのは、あなたの理解を超えた世界)

 決めゼリフではないが、ウイルス感染に怯える世界、次元圧縮テクノロジーや重力レベラーといったオーバーテクノロジーが存在する近未来観を象徴している効果的なセリフである。

■「1対700」のシーンで、"Give me what I want.(私から奪ったモノを返してもらおうか)"と憤怒するダクサスに向かって:
"Come and get it."
(力ずくで奪い取ってみれば?)

 ちなみに映画『エスケープ フロム L.A.』には、この「1対700」と酷似するシーンがある。(一部分とはいえ)全く同じセリフ、動き、状況…まるでデジャヴを見ているようで興味深い(本作品の「1対700」シーンは、『エスケープ フロム L.A.』へのオマージュだろうか?)。


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最新の10件を表示しています。 コメントページを参照

  • 警官が使っていたノンフルートシリンダーのパイソンって、もしかして『コルト・グリズリー』なんでしょうか?作中で確認できなかった上にグリズリーのことはよく知らないので、断定できないんですが。 -- MA-08S? 2007-01-28 (日) 22:05:49
  • グリズリーについては詳しくないのですが多分違うかな? ちなみにベンチレーテッドリブが確認できました。 -- 正義の枢機卿? 2007-01-28 (日) 22:19:59
  • グリズリーはパイソン、またはアナコンダ似のベンチリブ+フルラグ銃身にノンフルートシリンダーの組み合わせなので、特徴は合っているのですが。何しろ限定生産品で資料が全然なくて、そんなレアな銃、ステージガンには使わねぇよと思いつつ……、だ、誰か助けてーっ!(悲鳴) -- MA-08S? 2007-01-28 (日) 23:42:38
  • グリズリーって、3ホールの6インチオンリーでしょうか?参考までに、映画では2ホールの4インチでした。 -- 正義の枢機卿? 2007-01-30 (火) 15:53:42
  • 『Gun』誌のバックナンバー・ページhttp://www.gun-shi.co.jp/Gun/1997/9711con.htmlで、一枚だけ写真が確認できますが…… -- 輝日南? 2007-01-30 (火) 18:38:23
  • 決めゼリフ項目を追加。『リベリオン -反逆者-?』と違ってDVDには英語字幕はあるけど、ウィマー監督のコメンタリーが無かったのは残念… -- インテリの島二尉? 2007-05-23 (水) 09:34:07
お名前:

*1 タイトル名の"ウルトラヴァイオレット"とは「紫外線」という意味だが、元々の「紫を超えた」という意味の方が作品のテーマに適していることだろう。後者の意味は、感情によって変化するヴァイオレットの髪の色を暗示していると思われる("violet"とはスミレ色という意味)。
*2 某ゾンビゲームのことではない

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