ロシア政府からの要請で、イジェフスクのイジェフスキー・メカニチェスキー・サボド(現イジェマッシ?社)が開発したロシア軍の新型制式拳銃。 グラッチとは「ミヤマガラス」という烏の一種のこと。ロシア国内ではマカロフなどと同じく、設計者の名をとって「ヤリギン PYa/Pistolet Yarygina(ピストレット ヤリギナ)」と呼ばれている。現在は一部がFSB(連邦保安局、かつてのKGB)、警察やMVD(ロシア版のFBI)の特殊部隊にも配備が開始されているようだ。
冷戦終結後の旧ソ連の体制崩壊と自由化後、それまでのソ連軍に変わる新生ロシア軍は、従来の制式拳銃弾薬9mmx18を、NATOとの互換性がある9mmx19に変更した。それに伴って開発・設計されたのがこの銃である。
一見するとハンマーレスに見えるが、スライドの両サイドが後方に伸びて露出式ハンマーを覆っている(初期型では普通のスライドだった)。これはトカレフ以来の伝統で、分厚い防寒具の中から取り出す時でもハンマーが引っかからないようにする、寒冷地ロシアらしい一工夫である。本銃にはオートマチック・ファイアリングピン・ブロックがないため、不用意にハンマーを起こして暴発するのを防ぐ意味もある。
オーソドックスで信頼性の高いコンベンショナルダブルアクションシステム、材質も軽合金や新素材は用いず、スライド、グリップフレームともスチール製と、極めて堅実(保守的)な造りだが、一方でスタイルはトカレフやマカロフのようなこれまでのロシア・旧ソ連製の銃特有の野暮ったさは感じられず、むしろM92FSを彷彿とさせるようなヨーロピアンテイストさえ感じさせる。これはロシア国内での使用よりも、海外市場への売り込みを重視しているためで、イジェマッシ社も銃器の見本市などで世界中の公的機関、特にヨーロッパの公的機関などに対して、かなり積極的な売り込みを掛けているようだ。ロシアが拳銃を自軍向けの『兵器』ではなく、海外・民間にも販売する『商品』として意識し始めた証とも言える。
マガジン容量が17発と、同クラスの拳銃と比べてやや多いのも特徴である。
ちなみにMP-446、通称ヴァイキングは、MP-443の兄弟銃で、強化ポリマー製のグリップ・フレームをもつ以外、構造はほとんど変わらない。ロシア軍の次期制式拳銃トライアルの最終段階でテストされたが、ポリマーフレームの耐久性への不安からキャンセルされた。現在はMP-443のスポーターモデルという位置付けで、輸出や国内のセキュリティ機関向けに販売されているようだ。
登場作品 | ジャンル | 使用者 | 備考 |
ゴルゴタ | 小説 | 石田組組員 | 未使用 |
タイドライン ブルー | アニメ | − | − |
ブラック・ラグーン | − | − | 項目参照 |
ヤングガン・カルナバル | − | − | 項目参照 |
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