アメリカのマグプル社が2014年に開発したアクセサリーレイル規格。
従来のピカティニーレイルのようなギザ歯形状ではなく、大きさと間隔が規格化された丸角の長方形型スロット穴に、独特の形状のナットを締めこむことでアタッチメントやレイルを接続する。これまで各社が検討してきた、必要な分のレイルをハンドガードに脱着可能な「モジュラーレイルシステム」の一つである。
アメリカ産まれながらメートル法に則って設計されているのも特徴。
従来のRISと比べ、開口部が多くなる分、軽量かつ放熱性が高い。主にハンドガードでの使用を想定しており、凹凸が少ないため保持性も高い。
一方、モジュラーレイルシステム全般に共通する弱点ではあるが、直接ハンドガードに成型されたレイルと比べると耐久性、耐熱性、取り付け精度はどうしても劣ってしまう（このため、照準器のために高精度が求められる上面は基本的に直接成型のピカティニーレイルになっている）。また、スロット穴の間隔上、アタッチメントの取り付け位置調整幅はピカティニーレイルほど細かくない。
M-LOKシステムはフリーライセンスであり、マグプル社の許可を得ることで無料で使用・販売することが出来る(オープンソースではないため無許可の使用はできない)。あえて許可制とすることで、システムを採用した製品間の互換性を保証するという考えがあるようだ。
2012年に登場したKEYMOD(後述)とは規格争いが続いていたが、2017年に米軍SOCOM傘下のNSWCクレーンから「M-LOKはKEYMODより耐久性に勝る」という試験結果が発表されてからは、軍民問わず新型レイル規格として大きく広がりを見せている。米軍でも更新が行われたSOPMODキットのハンドガードにはM-LOK規格が採用されている。
KAC社が開発してから、様々な銃で標準装備されることになったレイルハンドガードではあるが、材質・形状故に重量化しがちで素手での保持性も悪いという問題があった。そのためハンドガードを製造する各社は、ハンドガード全面をレイル化するのではなく、必要な分だけのレイルを脱着できるようにしたり、あるいはアタッチメントを直接装着可能にしたりするモジュラーシステムを模索し始めた。KAC社自身もURX3で独自規格のモジュラーシステムを導入している。
そんな中、マグプル社は2007年に自社開発したMASADA突撃銃に「MOE(Magpul Original Epuipment)」という独自のモジュラーシステムを導入。2009年にはAR15向けのハンドガードパーツにも導入した他、MOEのスロットに対応したアタッチメント類も併売された。
このMOEは形状こそ現在のM-LOKに似ているが、アタッチメントの取り付け方はハンドガードの裏側にナットを入れ、表側からボルトを締めるというもので、ハンドガードをいちいち銃から取り外す必要があった。またスロット配置も十分なものでなく、アタッチメント配置の自由度は低かった。
そして2014年に登場したM-LOKでは、アタッチメント側に「Tスロットナット」を採用し、ハンドガードを銃に取り付けた状態でも、表側からボルトを締めこむだけで固定されるようになった。スロット配置に関しても併せて改善されている。
M-LOK登場の少し前の2012年に「VLTOR Weapon Systems」によって開発されたマウントレール規格。こちらはオープンソースで自由な使用が許可されている。
M-LOKと同じスロット穴式であり、ハンドガードを銃から取り外すことなくアタッチメントの脱着が可能な設計となっている。スロット穴は鍵穴のような形状をしており、これが名前の由来にもなっている。
ドイツのH&K社はKEYMODを独自に改良し、「HKey」という名前で自社製品に採用している。KEYMODではヤード・ポンド法で設計されているのに対し、HKeyはメートル法のため、二者間での互換性はない。
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