銃創(GSW) †
銃撃によって受けた傷。
弾丸が体内に残っている状態を指す「盲管銃創」、弾丸が完全に貫通している状態を指す「貫通銃創」に大別される。
更に細分化すると、表皮や肉を少し削っただけ(要するににかすっただけ)の「擦過銃創」、体内で骨に衝突し、骨片や、弾丸自体が炸裂することで生じる「屈折銃創」、頭部に命中した弾丸が頭蓋の内側をぐるりと回旋し、命中場所(もしくはその近く)から外へ飛び出す「回旋銃創」などがある。
銃創は被弾した距離・状況によっても区別されている。
距離に応じた区分は「接射銃創」、「準接射銃創」、「近射銃創」、「遠射銃創」の4つに分けられる。
状況によるものは跳弾による「跳弾銃創」、遮蔽物を貫通した弾丸による「間接銃創」などが挙げられる。
銃創で死に至るのは出血や中枢神経へのダメージばかりではなく、銃弾の鉛による『鉛毒』や、創部の感染も問題となる。
深い銃創の場合、普通の外傷では問題とならない嫌気性菌(破傷風菌などの、空気を嫌うタイプの細菌)の感染・増殖も起こりうる。特にワクチンや抗生物質などがなかった頃はしばしば致命的で、銃創自体が急所をはずれていても、その後の感染による破傷風や敗血症で死に至ることも少なくなかった。
アメリカの西部開拓時代でも、ろくに洗っていない、雑菌だらけの不潔な服を着込んでいた騎兵隊では、小さな銃創から感染して、敗血症で命を落とす者が多かった。一方、騎兵隊と敵対していたネイティブアメリカン(インディアン)は、いつも肌をさらしていたためかえって雑菌が少なく、銃創には強かったと言われている。
また、当時は真鍮でカバーされていないむき出しの『鉛弾』が多かったので、鉛毒も大きな問題となった。
治療法の進歩した現在では、映画の中でも、銃創を負った人物が破傷風のワクチンを注射されているシーンにお目にかかることがある(『レッドブル』など)。