SWAT(Special Weapon And Tactics):警察特殊任務部隊

 警察機関が年々凶悪化する犯罪に対応するために設けた特殊部隊。SWAT(Special Weapon And Tactics=直訳 特殊兵器と特殊戦術)の名の通り、一般警察官とは違った武器や装備を使い、様々な戦術で凶悪な事件を解決する。基本的に別の名称が付いている事が多いが、特性はほぼ同じ世界各国の警察特殊部隊もしばしばSWATチームと呼ばれる。(日本では警視庁や道府県警のSIT、フランスのRAID、ドイツのGSG-9など)。

 1966年に起きたテキサスタワー乱射事件などをきっかけにLAPD(Los Angeles Police Department=ロサンゼルス市警)がSWAT(Special Weapons Assult Team=直訳 特殊兵器突撃部隊)を組織(ただしあまりにも軍隊のような攻撃的な名前のためSpecial Weapon And Tacticsに改名)。その後、全米の警察機関の他、FBIやDEA、ATFなどにも設けられた。
 装備としては、あくまで警察組織であるという性質上、市街地や建物内などでの貫通などによる二次被害を防ぐため、短機関銃散弾銃などの取り回しがよく貫通力・射程の低いものが多かったが、1997年のノースハリウッド銀行強盗事件を境に、犯罪者に利用される防弾チョッキの性能が再確認され、これに対抗するために、2000年代からは短機関銃に加え、M4などの貫通力の高いカービンが普及していった。
 装具もほぼ軍用のものと変わらないものを身に着けていることから、"POLICE" "FBI"といった法執行機関のバナー以外は軍特殊部隊と見分けがつかないレベルとなっている(特にアメリカでは、1997年に発行された国防法”1003プログラム”により、政府によって軍の余剰在庫をほぼ無料で法執行機関に供与する法律が存在するため顕著。ただし法執行機関向けの軍用とは異なる仕様、または軍用では見られないメーカーの各種ギアを身に着けているケースも多い)。
 制服も従来、SWATといえばかつて濃紺又は黒のBDUを着用しそのイメージが定着していたが、アメリカでは前述の法律により軍用品が流入したこともあってか、軍用のパイロットスーツ、あるいは各種迷彩BDUを着用するケースが増えた。一方で、軍用では用いられないレンジャーグリーン一色のBDUも広まっている。
 またイギリスで新設されたスコットランドヤードの駅警備に従事するスペシャリストユニットは、最新の軍レベルの銃器に加えてグレー一色の軍服を装備しており、その特徴的な外観が話題となった。(イギリス新聞大手デイリーメールでは彼らを頼もしい『ロボコップ』であると報じた。)
 他に、タクティカルライトや音響閃光手榴弾、特殊ゴム散弾などの犯人を殺さずに捕えるために低致死性・非殺傷の武器が使われることもある。

 しかしこのように装備・戦術共に高度化する一方で、そのような『警察の軍隊化』は二次被害や誤射、平時における過剰な抑圧力をもたらすとして近年懸念されている。実際、戦争においては禁止されているガス兵器が、暴徒鎮圧においては平然と使われているなど道徳的にも大きな問題と考えられている。
 特に2014年アメリカ・ミズーリ州ファーガソンにおいて、無実の黒人被害者が白人警官に銃殺され、地元において大きな抗議行動に発展した際、出動したファーガソンSWAT部隊は多数の装甲車やAR10さえ含む重装備の隊員を伴い、夜通しの威圧行為が行われたため、まるで戦争状態であると報道された。
 一方で、「スワッティング(swatting)」と呼ばれる、嫌がらせや報復を目的として警察やSWATを悪用する事件も注目されている。SWATでの対処が必須となるような緊急性の高い武装犯罪をでっちあげて通報、相手宅へ送り込むというもので、2015年には、17歳のカナダの少年が40件ものスワッティングの容疑で逮捕・起訴されている。

 警察機構の特殊部隊であり、実際には凶悪犯罪対処が主なのだが、対テロ作戦にも従事可能である。軍のトレーナーや演習場で訓練されているため、能力的には、欧州に多い軍直下の対テロ部隊(フランスのGIGNなど)と遜色のない実力があるようだ。
 ちなみにあのケイン・コスギもテレビ番組の企画でSWATの基本訓練に参加したおり、秘匿性のある部隊かと思いきや、情報公開にかなり積極的であり、隊員の素性を明かすことないものの、装備を全面公開するケースさえあるらしい。また、執筆活動を行う隊員もいるようで、戦闘用ナイフの紹介を専門誌に寄稿している者さえいるようだ。

 余談だが、メディアでは警察関係の登場する洋画には必ずといっていいほど登場し華麗に事件を解決するが、実際はSWATによる作戦はあくまでも最終的な手段であり、その前に犯人との交渉などがあることを忘れてはならない(たとえ凶悪犯であっても人命が最優先である)。

  1. ■SWAT出身の人物(実在)
    1. (資料なし)
  1. ■SWAT出身の人物(架空)
    作品名人物名備考
    24 -TWENTY FOUR-ジャック・バウアー
    S.W.A.T.T.J.マッケイブ
    クリス・サンチェス
    ジム・ストリート
    ダン・“ホンドー”・ハレルソン
    ディーコン“ディーク”・ケイ
    マイケル・ボクサー
    スピードジャック・トラヴェン
    西部警察鳩村 英次研修
    ダイ・ハードミッチェル
    リバース
    ドラゴン・スクワッドワン・スン・ホー
    バイオハザードバリー・バートン
    レインボーシックス シージアッシュ(イライザ・コーエン)
    テルミット(ジョーダン・トレイス)
    キャッスル(マイルズ・キャンベル)
    パルス(ジャック・エストラーダ)

最新の10件を表示しています。 コメントページを参照

  • SWAT出身者はバイオハザードのバリーバートンもいる -- はちま起稿? 2012-03-07 (水) 14:30:38
  • LAのSWATがUMPを装備している模様。ABC(アメリカのテレビ局)で報じていたLAの空港で起きた航空機の爆発物騒ぎのニュースで乗客が隠し撮りした映像に出てました。 -- 2016-05-25 (水) 08:36:28
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