文字通り、両手に拳銃を構えて同時に撃つ射撃スタイル。「二丁拳銃」とも書く。また、さらに両手を交叉させて両脇の敵を撃つスタイルを特に「クロスファイア」と呼ぶこともある。
腰のホルスターに二挺の拳銃をぶら下げたスタイルは、『腕利きのガンマン』を描くわかりやすい演出であり、西部劇では二挺拳銃を構えたガンマンが、一瞬にして大勢の相手をなぎ倒すシーンがよく見られた。
その後、西部劇の時代が去り、再装填の容易なオートマチックが主流になると、メディア上でも二挺拳銃は次第に廃れていったが、1986年、意外にも香港のジョン・ウー監督が映画『男たちの挽歌』で、鮮烈に復活させた。一説には、使用していたベレッタのモデルガンが連射している内に熱くなって持てなくなってしまうために、交互に持ち替えて過熱を防ぐ、という一種苦肉の策だったとも言われるが、結果的には非常に効果的な演出となり、以後二挺拳銃はウー監督と主演したチョウ・ユンファの代名詞となる。
また、ややスタイルは違うものの、ほぼ前後して『ターミネーター』でもアサルトライフル＋ショットガンの二挺撃ちが登場し、やはり衝撃を与えた。
現在では二挺拳銃はウー作品のみならず、映画、コミック、ゲームなどありとあらゆるガンアクション系作品に登場し、かつて以上の全盛期を迎えた感がある。
当然ながら二挺拳銃には、両手がふさがっている以上マガジンを交換できないという致命的な弱点がある。メディア上では様々な方法でその弱点を（少なくとも演出的には）克服している。
例えば、「マトリックス」等では最初からリロードはあきらめて、銃を大量に隠し持った上で、打ち切った銃は捨てて新しい銃に交換、という潔い方法が取られている。一方「リベリオン -反逆者-?」では、スリーブガンの応用で両手のふさがった状態でのマガジン交換を映像化している。ただしいずれも、衣服の下に隠すにはどう考えても容量オーバーという、仮想世界か所詮フィクションと割り切らねば成立しない新たなウソを生んでしまってはいるが…。
なお、現実にはレクリエーションをのぞけば、リロードはもちろん、照準もままならない二挺拳銃を本格的に取り入れた公的機関やシューティング競技はさすがに存在しない。また、実際の西部開拓時代のガンマンたちも、再装填の難しい旧型のリボルバーの時代に、手持ちの弾数を増やす手っ取り早い方法であっただけで、二挺同時に撃ちまくっていたわけではないようだ。
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