その名のとおり、衣服の袖(Sleeve)の下に隠した銃のこと。また、そのための仕掛けを施された銃のこと。
フィクションでは、スプリングの力で銃が手の位置まで射出されるギミックを仕込むことで取り出す描写がなされる。作動させる方法は、腕を一定の角度まで曲げる(もしくは伸ばす)・肘部分のスイッチを体に押し付ける・衝撃を与えてストッパーを外す(腕を勢い良く振ったり、振動を与える等)等、多々存在する。腕に装着したレールに沿って銃が飛び出すので「レールガン」と呼ばれることもあるが、大砲など別の意味で使われることが多いのであまり使わないほうがよい。
本来はM1906やデリンジャー等の小型拳銃に使われるギミックである。スリーブガンのメリットは、銃を隠し持つことで相手を油断させることができる点と、ギミックによって極めて素早く銃を取り出せる点である。いっぽう、銃を出す途中で衣服に引っかかったり、暴発の危険性があったり、スリーブガンを装着するにあたって着用する衣服が限定されてしまう(長袖で、袖口が広がっている服だけ等)などデメリットも大きい。
映画やコミック等のメディア作品では、1911系や92FS系などの大型拳銃もスリーブガンとして使われているが、実際はサイズの問題で実現不可能である(映画『デスペラード』では、袖から飛び出すシーンだけグリップを切断したプロップガンを使用している)。
また、スリーブガンの亜種(?)として、映画『エンド・オブ・デイズ』のように両腕に固定されたグロック 26を手を直接袖に入れて取り出す方法や、映画『エイリアン4』のように伸縮式のレール上を銃が自動で移動するタイプも存在する。
他にも、『リベリオン』ではこのスリーブガン・ギミックをリロード技術に応用させた演出(二挺同時のリロード)が確認できる。もちろんサイズの問題で実際には不可能ではあるが、二挺拳銃ではほぼ不可能なリロード操作を真っ向から見事に描写している。
現実的には実用性が低いスリーブガンではあるが、様々なメディア作品において銃をより格好良く見せることのできる画期的なギミックであることには違いないだろう。通常サイズの銃でスリーブガン・ギミックを行うことは不可能だが、その事を承知の上で「映像・演出のマジック」と認識することも大事である。
なお厳密にはスリーブガンではないが、第二次大戦中のアメリカとイギリスでは袖に隠せる筒形の銃を開発したことがある。
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