1908年にコルト社が製造を開始し、コルトM1908(コルトM1903の派生型。外見はM1903と変わらない)に最初に使用された弾薬。ただし、他のACP弾とは異なり、コルトのオリジナルではなく、ジョン・ブラウニング?が9mmパラベラム弾の薬莢を2mm短縮し、扱いやすくアレンジしたものである。このため、「9mmショート」、あるいはドイツ式に「9mmクルツ」とも呼ばれる。
威力は9mmパラベラムより落ちたが、その分、小型の拳銃でもストレートブローバック機構で射撃可能となり、銃の構造を簡素化できる。
9mmパラベラム弾の拳銃でも、H&K VP70やアストラ 600など、ストレートブローバック式の銃も存在するが、前者は発射ガスを逃がすことにより低反動化を行っているので、エネルギーも.380 ACP弾と同程度まで大幅に低下している。
後者は強力な弾薬に対応するため、リコイルスプリングが非常に強く、その圧力は人力で操作する実際上の限界とも言われる。
拳銃で無理なくストレートブローバックで発射できる弾薬は、9mmマカロフ弾や9mmポリス(9mmスーパー)弾など、『9mmx18』が限度とされる。
.380ACPは威力も必要十分で扱いやすく、FN M1910やワルサー PPなどの中型自動拳銃において広く普及し、特にヨーロッパにおいては警察用の弾丸として一世を風靡した。
後にヨーロッパの警察用拳銃は9mmパラベラム弾を使用する大型拳銃が取って代わったが、現在でも個人の護身用としては広く使われている。
なお、.380ACPを使う拳銃のほとんどは、バリエーションとして.32ACP弾仕様が存在し、銃身とマガジン以外はほぼ共通の部品が使用可能である。
.32ACP弾仕様は装弾数が.380ACP弾仕様より1発多いので、どちらを選ぶかは威力と弾数とを勘案することになる。
ところで、.380ACPの前には、『.38ACP』という弾薬も存在した。20世紀初頭に開発された弾薬で、こちらは正真正銘、コルトのオリジナルだが、サイズが9mmx23と全く異なり、.380ACPとは互換性がない。他のACP弾と異なり、.380ACPだけ数字が3桁になっているのは、この古い.38ACPとの混同を避けるためである。
.38ACPの方は今ではすっかり廃れ、新規の銃も開発されていないが、発展型の『.38スーパー(.38ACP+)』は、現在もメキシコやアメリカ南部、シューティング競技界で広く使われている。
弾丸直径 | 弾薬全長 /薬莢全長 | リム形状 | 弾頭重量 | 銃口初速 | 初活力 | 有効射程 | 代表的な銃 |
9.0mm(0.355in) | 25.0mm(0.984in) /17.3mm(0.680in) | リムレス | 95gr(6.2g) | 980ft/s(300m/s) | 203ft-lbs | − | ワルサー PP マウザー HSc ベレッタ M84 シグザウアー P230? MAC M11? |
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